2010年5月22日土曜日

こんなに手厚い社会保険(その2)

2 医療保険
国民は、次のどれか一つの医療保険に必ず加入することとされています(国民皆保険制度)

○健康保険(組合けんぽ)
大企業が設立する健康保険組合(法人)が保険者となり、従業員が被保険者

○健康保険(協会けんぽ)
全国健康保険協会(非公務員型の法人)が保険者となり、中小企業の従業員が被保険者

○共済組合(短期給付事業)
国家公務員共済組合連合会等が保険者となり、国家公務員・地方公務員・私立学校職員等が被保険者

○日雇健康保険
全国健康保険協会が保険者となり、日々、雇い入れをされる労働者が被保険者

○国民健康保険(国保)
市町村または、同種の業種、又は事務所に従事する者を組合員とする国民健康保険組合が保険者となり、前記のいずれの被保険者でないものが被保険者(後期高齢者を除く)

参考
国民健康保険の被保険者は次のようになっています。

市町村の区域内に住所を有するもので、次に該当しない者はその意思のいかんにかかわらず、全員が自動的にその市町村の国民健康保険に加入することになる(国民健康保険法第5条、第6条)。
・健康保険等の職場の保険に加入している者(サラリーマン、公務員)と、その被扶養者
・国民健康保険組合に加入している者(大企業サラリーマン)と、加入者の世帯に属する者
・生活保護を受けている者
・後期高齢者医療制度に加入している者



○後期高齢者医療制度

都道府県を単位とする広域連合(後期高齢者医療広域連合)が保険者となり、国内に住む75歳以上の後期高齢者全員と、前期高齢者(65~74歳)で障害のある者が被保険者

【高額療養費制度】(すべての保険で適用)
こちらをご覧ください。

【家族療養費】(組合けんぽ、協会けんぽ、共済、日雇のみ)
被保険者に扶養されている者は、病院等で治療を受けたときは被保険者と同様に、3割負担で療養を受けられます。

【出産育児一時金】(後期高齢者医療制度を除く)
被保険者本人が出産した場合に給付されます。
妊娠4カ月以上で出産(死産や流産をした場合も給付されます。)した人は、子供一人につき42万円(双子なら2倍)が給付され、市区町村や健保組合、共済組合によっては、付加金が付くこともあります。
(「産科医療補償制度」に加入していない病院で出産すると39万円)

【家族出産育児一時金】(組合けんぽ、協会けんぽ、共済、日雇のみ)
妻が被保険者の扶養になっていたら、被保険者の健康保険から支給(前項と同額、同条件)されます。
扶養していれば、娘の出産でももらえます。

【出産手当金】(組合けんぽ、協会けんぽ、共済、日雇のみ)
勤めている女性で、産休中で給与がもらえない場合、自分の健康保険(夫の扶養はダメ)から、標準報酬日額の2/3×98日(産前42日+産後56日)分の手当が支給されます。

出産が予定日より遅れたら、遅れた分も支給されます。社員のほか、契約社員やパート、アルバイト、派遣社員であっても健康保険に加入していれば貰えます。
(健康保険を脱退したか、任意継続の人は貰えません。)

参考
 会社員ではない自営業者や学生などが加入している国民年金(1号被保険者)についても、2019年4月より出産予定日または出産日の前4ヶ月から、出産した翌月から4ヶ月分(双子などの多胎妊娠の場合は6ヶ月)の保険料が免除されます。(死産や流産した場合も適用されます。) この制度は「市町村の国民年金窓口」に申請しないと受けられません。

【傷病手当金】(組合けんぽ、協会けんぽ、共済、日雇のみ)
被保険者が病気やケガで入院・療養し、そのため仕事を休み、給料の支払を受けられなかったとき、標準報酬日額の2/3が給付されます。

もらえる期間は、休養後(3日連続して仕事を休んだ後)4日目から休んだ日数分がもらえ、最長1年6ヶ月までもらえます。

「3日連続して仕事を休んだ後」とは休日でも、有給休暇でもOKです。
一日のうち一部就労し給与の一部を貰った場合は、支給調整はあるものの傷病手当金はもらうことができます。

また出産手当金、障害厚生年金・障害手当金、老齢年金等、休業補償給付との併給調整があります。(日雇については、金額、期間は別基準)

続く

こんなに手厚い社会保険(その3)

2010年5月21日金曜日

こんなに手厚い社会保険(その3)

3 雇用保険
雇用保険からの給付は、次のようなときにもらえます。

○失業したとき(基本手当、技能習得手当等、傷病手当)

○仕事を続ける事がむづかしいとき(育児、介護、高年齢)
雇用保険の被保険者には、一般被保険者、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者の4つの種類があります。

会社員は一般被保険者となりますが、パートタイマー、アルバイト、派遣などについても次のいずれにも該当する場合には被保険者となります。

(未加入の方は、事業所で従業員が5人以上いれば強制適用となりますから、次の条件に該当していれば、事業主に相談してください。)
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1年以上引き続き雇用されることが見込まれる

(次の場合はこれに該当します)
・期間の定めがない場合
・雇用期間が1年の場合
・3ヶ月等の期間を定めて雇用される場合であって、契約更新規程がある場合
・3ヶ月等の期間を定めて雇用される場合であって、同様の契約で雇用されている他の者の過去の就労実績等から見て、契約を1年以上にわたって反復更新することが見込まれる場合

では、給付内容について以下に説明します。

【傷病手当】
雇用保険に加入していた人が会社を退職し、失業等給付(基本手当:給料の約80%~50%)を受けることができるとき、病気やケガをしてしまい、続けて15日以上働くことができないあいだ、基本手当に代えて同額の傷病手当が支給されます。

つまりそのまま手当がもらえるのですが、基本手当は「働く意志と能力のある人」に支給されるため、病気などで「働く能力」がない人にも給付するための理由付として「傷病手当」があります。

基本手当がもらえない、高年齢、短期雇用、日雇の人は傷病手当ももらえません。

【育児休業給付金】
一般被保険者(男女を問いません)が1歳未満の子を養育するため、育児休業を取得した場合にもらうことができます。

ただし、入社早々のように、賃金支払が12か月に満たないと、もらえませんので注意しましょう。
また休業中で仕事をして、休業が1ヶ月に20日未満となったり、8割以上の給料をもらったりすると、その月は給付金はもらえません。

もらえる額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の50%(2014/4/1からは、育児休業の開始から6か月までは67%)相当額となっています。

支給(単位)期間は、産休明けに育児休業を開始したときから、子が1歳の誕生日の2日前の日までです。

子供が1歳になっても、保育所に入れなかったり(公的な保育所だけで判断し、無認可はOKです)、配偶者が病気や死亡または離婚したり、次の子を6週間以内に産む場合は、1歳6か月まで延長できます。
手続きは会社に書類を提出すればやってくれます。

注意:平成22年4月1日以前に育児休業を開始し、現在育休中の方(育児休業基本給付金をもらっている人)は、職場に復帰し6ヶ月を経過したら育児休業者職場復帰給付金(休業開始時賃金日額の10%)がもらえます。

[保険料と税金]
健康保険、厚生年金保険の保険料については、育児休業取得者について、育児休業等を開始した月の当月からその育児休業が終了する日の翌日の属する月の前月までの期間、事業主及び被保険者負担分の保険料が免除されます。

雇用保険料は、無給の場合は、事業主及び被保険者負担分がともにありません。

所得税、住民税については、育児休業中は賃金の支払いがあれば、その分の所得税は納付しなければなりません。
しかし、無給である場合には課税されません。

なお、育児休業給付金については非課税とされています。 

【介護休業給付】
家族を介護するための休業をした場合に給料の約40%をもらうことができます。
(被保険者期間(直前の2年間の賃金支払)が12か月に満たないと、もらえません。)

対象家族は、同居し扶養している配偶者、父母(配偶者の父母(同居は問わない)も含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫になります。

対象家族1人について通算93日以内であり、要介護状態ごとに1回が原則なので、同じ対象家族で、同じ要介護状態については1回限りとなります。

したがって要介護状態が異なれば、同一家族について複数回(通算93日以内)もらうことができます。

要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態のことです。

休業期間中に仕事をして休業が1ヶ月に20日未満となったり、8割以上の給料をもらったりすると、その月は給付金はもらえません。
手続きは会社に書類を提出すればやってくれます。

[保険料と税金]
健康保険及び厚生年金保険料は免除されません。
雇用保険料は無給の場合、事業主及び被保険者負担分がともにありません。
所得税、住民税については、介護休業中は賃金の支払いがあれば、その分の所得税は納付しなければなりません。しかし、無給である場合には課税されません。
なお、介護休業給付金については非課税とされています。


こんなに手厚い社会保険(その4

2010年5月20日木曜日

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こんなに手厚い社会保険(その4)


4 労災保険

健康保険は、仕事以外の時間中に起こった事故や病気に対して医療給付されますが、労災保険は仕事中や通勤途中での事故や病気に対して国から給付が行われます。

主な給付内容は、

○業務災害に関する保険給付
・療養補償
・休業補償
・障害補償
・遺族補償
・その他(葬祭料、傷病保障、介護保障)

○通勤災害に関する保険給付

業務災害に関する保険給付と同様ですが、「補償」が付きません。
この理由は、業務災害が起こった場合、雇用主に安全管理の責任があるため、雇用主が従業員に対して「補償」しますが、通勤災害については、雇用主に安全管理の責任がありませんから「補償」が付きません。(ただし仕事の一部分として労災保険には取り込まれています。)

○二次健康診断等給付

定期健康診断等で血圧、血中脂質、血糖値、BMI(肥満度)のいずれの数値にも異常所見がある場合、無料で精密検査が受けられます。
これは、過労死を予防するため「脳血管疾患」「心疾患」に繋がる異常所見のある人について保険給付として二次健康診断を受けてもらうものです。
以下特に「補償」は付けませんが、業務災害も含みます。


【労災保険への加入】

労災は、1人でも労働者(アルバイト、パート、日雇等も当然に労働者となります。)を使用していれば強制加入となります。

労働災害については事業主に被災労働者に対して保障する責任があるので、事業主が保険者である国に保険料を支払うことになります。(労働者の負担はありません。)
被災労働者への給付は事業主に代わって国が行います。(実務は労働基準監督署)

小規模事業や個人経営の商店などは届出していないところが多いと思いますが、届出の有無に関係なく、労働者を使って仕事を始めたその日に労災保険は成立すると法律で定められていますから、業務に関わる事故がいつ起こっても労災保険から保険給付を受けられます。
労災保険からの給付を受ける請求手続きはこちらを見てください。

無届けで労働災害が発生し、労災保険から保険給付が行われた場合、雇用主には後からしっかりと保険料の請求が行きます。

労災保険の適用が除外されるのは、国・官公署の事業、船員、労働者が5人未満の農業・水産業及び林業(年間300人・日以下)だけです。

つぎの労働者以外の方の場合は任意加入が認められています。
第1種特別加入者: 中小事業主及びその従事者(労働者を除く)
第2種特別加入者: 一人親方、特定作業従事者、家内労働者等及びその従事者(労働者を除く)
第3種特別加入者: 国際協力事業団、国内事業(有期事業を除く)から海外の事業へ派遣される者


【労災の認定】

業務事故等については原因が比較的明確ですが、通勤途中の判定や病気、過労死については認定が難しくなります。
一般に「業務遂行性」「業務起因性」で判断されます。

業務遂行性: 事業主の支配下にある状態(勤務時間中など)で、命じられた業務に従事しようとする意志行動がある(私用ではない)こと。

業務起因性: 業務に内在する危険有害性が現実化したと経験則上認められる原因であること。(仕事中に隕石に当たって死亡しても労災認定されません。病気については仕事との因果関係の立証が難しく、過労死については一定の基準(注)があります。)

注:労働省労働基準局長通達
「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」
「精神障害による自殺の取扱いについて」

労災の認定にはかなりの時間がかかります。
労働基準監督署による事故調査などにより「業務遂行性」「業務起因性」が確認されることになります。
過労死(自殺)などの精神疾患の場合、労災の認定までに平均8.7ヶ月を要しています。
したがってその間の医療費は自己負担となりますが、後日労災の認定がおこなわれれば、医療費の全額が払戻しされます。

ただし、診療報酬(保険が適用される治療行為等)の全額が支給されるだけですから、差額ベッド代等の患者の要望による費用は自己負担となります。


【療養の給付】

指定病院等においてケガなどで入院治療を受けた場合、原則自己負担はありません。
療養の給付は一端治癒しても、後日再発した場合には、再度給付を受けることができます。


【休業の給付】

入院治療のため仕事に就けない日、またはケガ等の状況により仕事ができない日(賃金がもらえない日)について、4日目から賃金の60%が支給されます。(最初の3日間(連続していなくてもよい)については事業主に休業補償の支払義務があります。)

休業の給付に加えて休業特別支給金20%が上乗せされますから、合計すると平均給与の80%が補償されているためとても安心できると思います。

休業開始後1年6ヶ月を経過し療養中で、一定の障害がある場合は、労働基準監督署長の権限で休業給付が打ち切られ「傷病年金」に切り替えられます。


【障害の給付】

ケガ等が治癒し障害が残った場合は、障害年金(1~7級)が給付されます。障害が軽度(8~14級)の場合は障害一時金が給付されます。

ちなみに、障害等級1級の年金額は、平均賃金の313日分になります。
障害等級8級の場合の一時金は、平均賃金の503日分になります。
障害基礎年金や障害厚生年金から給付がある場合は併給調整されます。


【遺族への給付】

労働者が業務事故等で死亡した場合には、遺族年金が支給されます。(妻は無条件で、父母や夫などは60歳以上、子や孫は18歳の3月31日までのもの)
遺族年金は遺族(生計維持関係にあったもの)の人数により、1人のみなら平均賃金の153日分、2人なら201日分、3人なら223日分が支給されます。
遺族厚生年金が支給されても併給調整されません。


【介護の給付】

傷病年金又は障害の給付を受けており、常時又は随時介護が必要な状態で、現在介護を受けているときに支給されます。


○社会復帰促進等事業

保険給付ではありませんが、労災のおまけ給付としてつぎのものがあります。
・被災労働者等(遺族も含まれます。)援護事業
特別支給金、労災就労保育援護費、休業補償特別援護金

以上より、業務に係わる事故等については国と事業主から十分手厚い補償が受けられます。
事業主の経営状況にかかわらず、国が補償してくれますから、労災については個人で保険に入る必要はありません。
強いてあげれば、保険より「貯蓄」に励んでください。

なを、労災保険についてくわしくは、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。




【がんになる確率】を計算してみました



2015/7/27
がん統計データ集



国立がん研究センターがん対策情報センターの「全国がん罹患数・率推定値1975-2004年」を使用しています。

私は、がんの統計の素人なのですがチャレンジしてみました。
でも、前記の権威有る説明を一生懸命読んだのですが、チョット変なのがありました。以下同センターHPより抜粋

Q27 罹患率と累積罹患リスクの違いを教えてください。
A27 罹患率は、一定の期間に観察された罹患数を、同じ期間の人口で割った値です。
例えば2000年の日本の男性のがん罹患率が499.3(人口10万対)であった場合、2000年の1年間に男性10万人当たり約500例のがんが新たに診断されたことを意味します。

これに対して累積罹患リスクは、年齢階級別の罹患率を一定の年齢まで足し合わせて求められ(注)、ある人がその年齢までにある疾患と診断される確率を表します。

例えば2000年の男性の累積生涯罹患リスクが49.0であった場合、男性が一生のうちにがんと診断される確率が49%であることを意味します(「男性の2人に1人は一生のうちにがんと診断される」と表現されることもあります)。』

この説明では罹患率を「一定の期間に観察された罹患数を、同じ期間の人口で割った値」つまり%の意味の表現と、「がん罹患率が499.3(人口10万対)」つまり人口10万当たりの診断数の2つの表現があります。

データファイルは「全国年齢階級別推定罹患率(対人口10万人),部位,性,診断年別」となっており%ではなく「10万人当たりの新たに診断された数」が示されています。

私には罹患率がどっちなのかよく分かりません。
(その他の注意点:罹患率と有病率にも気を付けましょう。
罹患率は「新たに診断されたがんの数」、有病率は「病気の患者数」なので、がんが転移し5箇所に見つかった場合は、罹患数が5になります。)

ということで、独断と偏見で【がんになる確率】を計算してみました。
まず同センターのデータより、【年代別のがん罹患の確率】は、
(年代) (がん罹患の確率)
0-4歳  0.011%
5-9歳 0.005%
10-14歳 0.007%
15-19歳 0.01%
・・・・・・・
60-64歳 0.84%
65-69歳 1.20%
70-74歳 1.60%
・・・・・・・・

ここで「がんにならない確率」を計算します。
0-4歳のときにがんにならない確率は1-0.00011
5-9歳のときにがんにならない確率は(1-0.00011)×(1-0.005)
以下同様に、各年代のがんにならない確率をすべて掛けた数値が一生涯で「がんにならない確率」となります。

したがって
1-「がんにならない確率」=【がんになる確率】
となります。

計算結果は、
「がんにならない確率」=88.86%
【がんになる確率】=11.14%
私としては、この値が妥当なところだと思います。
したがって「一生涯で二人に1人ががんになる」には大いに疑問があります。

ところで私もウソ(勘違いです!)を書きましたので訂正しておきます。
投稿【がん保険 Believe】で計算した「期待値」の内容を以下のとおり訂正させていただきます。
誤り 【Believe】216万円×4.8%=10万円
訂正 【Believe】216万円×11.14%=24万円
誤り 【CURE】が29万円オトクです。
訂正 【CURE】が15万円オトクです。

以上の内容について、信じるか信じないかはあなた次第です。





医療保険とがん保険を検討するときに参考となる入院日数、医療費等の資料


保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。

2010年5月19日水曜日

こんなに手厚い社会保険(年金の補足)

障害年金の障害等級について。(国民年金、厚生年金、共済年金共通)
ケガや病気により身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害がある場合、いずれかの年金に加入していれば65歳以前において障害年金がもらえます。

認定の基準となる障害等級表は、国民年金、厚生(共済)年金いずれも共通しており、1、2級(重度)については国民年金からは「障害基礎年金」が給付され、3級(軽度)については厚生(共済)年金からは「障害厚生(共済)年金」が給付されます。

厚生(共済)年金加入者に国民年金から障害基礎年金が給付される理由は、厚生(共済)年金加入者が国民年金の2号被保険者となっているためです。
2号被保険者には65歳になると国民年金からは老齢基礎年金(いわゆる1偕部分(定額))が給付され、厚生(共済)年金からは老齢厚生(退職共済)年金(いわゆる2偕部分(報酬比例))が給付されます。

このため厚生(共済)年金からは国民年金へ基礎年金に相当する拠出金が支払われています。
この拠出金を原資として、国民年金から1、2級の障害のある1~3号被保険者に対して障害基礎年金が給付されます。

3級の障害者については、厚生(共済)年金の独自給付として障害厚生(共済)年金が給付されます。
したがって、1号(自営業)と3号被保険者(サラリーマンの妻)には3級の障害があっても障害厚生(共済)年金は給付されません。

障害等級の認定基準は以下のとおりです。

国民年金、厚生(共済)年金の障害等級表
【障害基礎年金】
1級障害
年金額 792,100円×1.25倍+子の加算
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。具体的には、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることが出来ず、活動の範囲が、病院ではベッド周辺、家庭では室内に限られるもの。

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

2級障害
年金額 792,100円+子の加算
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。具体的には、必ずしも他人の介助は必要無いが、日常生活が極めて困難で、活動の範囲が、病院では病棟内、家庭では家屋内に限られるもの。

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平行機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声または言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢の親指と人差し指または中指を欠くもの
7 両上肢の親指と人差し指または中指の機能に著しい障害を有するもの
8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 1上肢のすべての指を欠くもの
10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 1下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

【障害厚生(共済)年金】
3級障害
年金額 (厚生年金の報酬比例年金額) ※最低保障額 594,200円
傷病が治癒したものにあっては、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
傷病が治癒しないものにあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7 長管状骨に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10  1下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
11  両下肢の十しの用を廃したもの
12  前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13  精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14  障害が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの

準3級障害(3級より軽度の障害の状態)
一時金 障害手当金
傷病の治癒後、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。
(なを、準3級障害として認定され、障害手当金を一旦受給してしまうと、その後、障害の程度がどんなに悪化した場合でも、他の新たな傷病を発症していない限り、障害年金を再度請求することは出来なくなります。)

注1:障害者手帳に記載された障害等級と、国民(厚生)年金保険法の規定する障害等級は必ずしも一致しません。(年金の障害認定基準の方がより厳しくなっています。)
また労災保険の障害(補償)年金の障害等級1~14級についても、まったく基準が異なっています。

注2:一般の保険会社の販売している定期保険、終身保険における「高度障害」は障害基礎年金の1級障害に概ね相当しています。
傷害特約及び保険料払込免除特約の身体障害の状態は、概ね2級障害に相当しますが、保険会社により違い(基準の明確化と厳格化)が大きいと言えます。


保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。

がん保険を検討されているあなたへ


2015/7/27
がん統計データ集



オリックス生命の【がん保険 Believe(ビリーブ)】アフラックのがん保険f(フォルテ)についてはすでに分析していますので、そちらの投稿をご覧ください。

がん保険を考えるとき、あなたはこのフレーズが気になるのではないでしょうか。
「二人に一人はがんになり、三人に一人ががんで亡くなられています。」

これは国立がん研究センターがん対策情報センターの「全国がん罹患数・率推定値1975-2004年」が根拠で、毎年「がんと診断」された数が648,491件ありました。

厚生労働省の「人口動態調査(平成19年)」によると、年間の出生数が約110万人(30年前は160万人もいました。)いますから、一生の内がんと診断される確率が約59%あることになります。
(計算としては、110万人が80歳まで生きるとすると、人口は110万人×80年=8800万人、この間にがんと診断される件数は、65万人×80年=5200万人なので、罹患確率は5200万人÷8800万人=59%、つまり罹患数を出生数で割った値と同じになります。)

一方死亡者数は、人口動態調査より年間110万人です。
内訳は、
悪性新生物 33.6万人(31%、約3人に1人の確率)
心疾患 17.6万人(16%)
脳血管疾患 12.7万人(12%)
その他   46.1万人
となっています。

さて、統計は処理の仕方で、また別の結果がでてきます。
がん対策情報センターの同じデータを使って【年代別のがん罹患確率】(当該年代のがん診断数をその年代の人口で割った値)を計算すると、
40-44歳 0.18%
45-49歳 0.28%
50-54歳 0.41%
55-59歳 0.59%
60-64歳 0.84%
65-69歳 1.20%
70-74歳 1.60%
75-79歳 1.90%

また厚生労働省の患者調査(平成17年9月の調査)によると、外来と入院を合わせた傷病分類別患者数、および入院したときの平均在院日数は、
高血圧性疾患 約781万人(41日)
糖尿病   約247万人(35日)
悪性新生物 約142万人(35日、胃がんの場合)
脳血管疾患 約137万人(102日)
虚血性心疾患 約86万人(28日)
というデータもあります。

(がんと同じ考え方だと、日本人全員が一生の内に何回も高血圧や糖尿病になることになりますが、そんなバカなこと・・・)

さて医療保険、がん保険は【入院や手術等】の費用負担に備えるものです。
入院給付金を貰うには、がんになる確率を気にするよりも、どの原因で「入院する可能性」があるのかを考えなければなりません。

入院確率はがんだけが高いわけではなく、さまざまな病気やケガで「入院する可能性」があります。
また費用負担はがんだけが高額なわけではなく、高血圧性疾患や糖尿病は生活習慣や体質改善のために長期入院となり、脳血管疾患は身体の麻痺によりリハビリに長期を要し、費用負担も高額となります。

厚労省のデータでは、生活習慣病は死亡数割合の約6割もあり、国民医療費の約3割を占めていることから、国としても特定健診(メタボ検診)などの対策を推進していますから、個人の医療保険を考える上でも主要な病気と言うことができます。

いま各社が【がん保険】に力を入れているのは、収益力改善のためです。
格安な医療保険より【がん保険】は利益率が非常に高く、営業としてもお客にアピールしやすいからです。

いまあなたは、親族や友人知人のがん患者を診て不安な気持ちになられていると思います。
でも、保険選びは冷静客観的、そして保険料は累積すると何百万円にもなりますから、損得を考えて選択することをお薦めします。




2010年5月18日火曜日

賢い保険の乗り換え方法


保険業法にもとづき、どの保険にも「猶予期間」と「失効」があります。
月払い保険料について、その月に口座残高が不足し、保険料が引き落とされなかったときはどうなるのでしょうか?
保障は、その月でなくなるのでしょうか?

そうではありません。
その場合は、引落予定の月(支払期月)の翌月末日まで「猶予期間」とされ、保障は有効です。
この期間内に保険事故があった場合にも、保険金、給付金は支払われます。ただし、そこまでの未払い保険料は差し引かれます。

5月が支払期月の場合の「猶予期間」と「失効」の時期をイメージ図に示します。
5月、6月に保険料が支払われないと、7月1日に保障は失効になります。
半年払いと年払いの場合は、契約応答日分が後ろにズレます。

この「猶予期間」をうまく使うことで、保険料の二重払いをすることなく、かつ保障を重複させつつスムーズに保険の乗り換えを行うことができます。

一般に保険の切り替えにおいては、保障の中断は避けなければなりません。
したがって新規加入の契約が成立した後に既契約を解約することになりますが、通常の手続きですと、1ヶ月分の保険料を既契約分と新規契約分の二重に支払わなければなりません。

しかし保険料を支払わなくとも失効までは最大2ヶ月間保障がありますから、この期間に新規契約が成立するように手続きを進めればよいのです。

この手順としては6月に保険を切り替え予定なら、上旬まで(保険会社から銀行へ引落通知が発送される時期前)に保険会社のコールセンターに口座引落の中止を申し込みます。
理由は「解約予定」または「資金不足」でよいでしょう。
こうすれば、7月末までは保障は生きていますから、その間に新規契約が成立するように手続きを進めます。

もし新規契約が不成立なら、7月に2ヶ月分を既契約の会社宛に振り込めば、問題なく契約は継続します。
コールセンターへの通知なしで、口座残高を引落予定額より減らしておいてもよいのですが、貯蓄型の保険は自動的に契約者貸し付けが行われますし、その頃は公共料金等も同時期に引き落としされますので、保険料だけ引き落とし困難にすることは難しいと思います。


保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。

2010年5月17日月曜日

オリックス生命の【がん保険Believe】はお得か?


2015/7/27
がん統計データ集



当然のことですが、この保険は「がんを治療の目的として入院、手術等」した場合が給付の対象となります。
50歳(男)を例に、オリックス生命の【がん保険 ビリーブ】の保険料、給付内容を見てみます。

【Believe】保険料 5,467円(終身払い)
入院日額     1万円(日数は無制限、2万円コースも有り)
がん初回診断 100万円(1回のみ)
入院治療/回  50万円
手術/回    20万円
退院      10万円
がん先進医療  技術料同額(通算1000万円)
保険料免除特約付

これに対して、FPに評判のよい、同社の医療保険CUREと比較してみます。
入院1万円コースの場合 6830円(5000円なら3455円)
入院日額     1万円(60日型、7大生活習慣病は120日)
手術/回    20万円
先進医療  技術料同額(通算1000万円)
となります。

具体例として、胃ガンで6日入院した場合の自己負担額(生命保険文化センター資料)と各保険の給付額を比較してみます。
実際の自己負担額
医療費 183,831円
差額ベッド代等 283,840円 合計 467,671円

【Believe】からの給付
初回診断 100万円
入院治療 50万円
手術 20万円
退院 10万円
入院 36万円 合計 2,160,000円

【CURE】からの給付
手術     20万円
入院 36万円 合計 560,000円

以上から、【Believe】は非常に手厚い(ムダの多い)保障となっています。

また、別の観点から、ソンかトクかを分析してみます。
使用するデータは、オリックス生命のHPの図(無断で掲載させていただいてます。)と厚生労働省の17年「患者調査」からです。

まず、同社の図では、入院患者の33.2%が7大生活習慣病となっています。
と言うことは、がん患者はその内の一部でしかありません。

「患者調査」からは、入院患者総数1145人(10万人当たり)のうち悪性新生物の患者数は55人、4.8%にしかなりません。

したがって、何かの原因で入院した場合、【Believe】から給付金をもらえる確率は4.8%です。
一方【CURE】からは、病気でもケガでも給付はもらえるので、確率は100%です。

ソンかトクで計算すると、おおざっぱに給付金をもらえる期待値は、
【Believe】216万円×4.8%=10万円
【CURE】39万円×100%=39万円
(CUREの場合は、「患者調査」の平均入院日数39日分の給付として計算、手術なし)

ですから、【CURE】が29万円オトクです。 訂正内容はこちらです。

参考に、病気全般については、平成20年患者調査の入院受療率(人口10万対),性・年齢階級×傷病分類別によると、
入院患者総数 1090人(100%)
悪性新生物   111人(10.2%)
脳血管疾患   156人(14.3%)
虚血性心疾患     5人(1.4%)
糖尿病      20人(1.8%)
高血圧性疾患     7人(0.6%)

がんの入院患者は10.2%なので、意外と少ないのです。
ということでBelieveは「信じてはいけません!」


参考
がん保険の選び方」 ←オススメ

医療保険とガン保険どっちがお得?

がん保険を検討されているあなたへ

長期の就業不能に対する保障の必要性

オリックス生命からネット申し込み専用の定期保険Bridgeが2011年5月に発売されます。
評価についてはこちらをご覧ください。




保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。

2010年5月16日日曜日

医療保険の入院日額はいくらぐらいか?

保険屋さんは、
「胃ガンで入院したら治療費は248万円も掛かるんですよ。知ってますか?」
「入院すると、平均一日1万4千円も掛かるんですよ!」
と言います。

ウソではありません。
これを正しく分析すると、
治療費は248万円になりますが、健康保険や国保から7割給付されるので、窓口の支払は、3割分の744,000円になります。

またこの支払額は高額療養費に該当しますから、実際の自己負担額(食事代を含む)は20万円だけです。したがって、差額の74.4万円-20万円=54.4万円は、会社か市区町村役場に支給申請すれば、後日払い戻されます。

入院の平均日額1万4千円の根拠は、生命保険文化センターが公表している金額で、医療費代20万円+差額ベッド代等30万円を入院日数36日で割った13,800円という金額なのです。
差額ベッド代等30万円は、お金に余裕のある人は払えばいいし、余裕のない人なら節約し10万円ぐらいにできる金額なのです。

したがって差額ベッド代等を除き、入院費用だけを考えれば、どんな病気でも保険診療なら1ヶ月当たり高くても9万円程度と考えてよいでしょう。

例えば、医療保険で入院日額5000円なら、36日入院して18万円給付されますから、医療費分20万円に近い額になります。
これに手術代(多くは主契約に含まれています。)が10万円給付されると、28万円になりますから、差額ベッド代を1万円ではなく5000円ぐらいに下げれば、お財布からの実質的な持ち出しは合計で2~3万円程度になります。

特約としてガン入院5000円があれば18万円が上乗せされ、合計46万円給付されるので、1万円の差額ベットの部屋に入ってもOKです。

以上の結論として、入院日額5000円、ガン(三大疾病をお薦め)入院5000円、手術10万円あれば大丈夫です。

なお、脳血管疾患、高血圧性疾患の入院は長期になるので長期入院(120日)への備えと先進医療の特約は付けた方がよいでしょう。

いらない特約は、特定疾病診断、入院初期給付、通院、退院、女性です。
なぜなら、これらの特約は、医療保険からの給付額が入院時の自己負担額を大きく上回ることになり、その分保険料が割高となります。

医療保険は、必要な自己負担額をカバーできていれば最適な保障なのです。

手厚い保障は保険会社を儲けさせるだけです。
あまり個別の特約に目を奪われないことが賢い消費者なのです。
ですから全体の給付額が、自己負担額をカバーしているかどうかだけチェックしてください。

参考
ガンなどの入院費用はいくら掛かるか?

注:個人事業主の場合は、収入の確保も必要になりますから、入院日額1万円または特定疾病診断30万円などの特約を付加することもよいでしょう。
保険の選び方は、こちらを参考にしてください。

参考
医療保険を選ぶ基準(その1

保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。