2011年7月14日木曜日

東京海上日動あんしん生命の「個人年金保険」と「長割り終身」どっちがお得?


(表はクリックすると拡大します)


お得かどうかは「同一保障内容」に対する「保険料」で比較するのが適当かと思いますが、私は「貯蓄性」すなわち「利回り」のよしあしで比較してみました。

東京海上日動あんしん生命の「個人年金保険」と「長割り終身」は貯蓄性の良さで売れています。

保険商品の「利回り」については損保系に強みがあります。
それは営業社員が少なく、代理店ルートの販売が主となるため、販売コストが低く押さえられているためです。

ネット系も生命保険では健闘していますが、年金などの資産運用商品については組織的な対応ができていませんから、どうしても大手の独壇場となっています。

さて、東京海上日動あんしん生命の「個人年金保険」と「長割り終身」について比較してみると興味深いものがあります。(表参照)

「貯蓄性」で見るとほぼ互角のように見えます。

同じ会社ですから当然かも知れませんが、「長割り終身」は死亡保障が1100万円もありますからかなりお得感があります。

「長割り終身」は、死亡保障がある分「利回り」はかなり無理して「個人年金保険」より0.12%も上乗せしています。(中途解約時の解約返戻金を低く抑えているため高利回りとなっています。)

上の表は次を前提として作成していますので必ずしも東京海上日動あんしん生命が保障または公表している数値ではありません。(保障された数値はゴシック体にしています。)

・利回りは積立期間を通じて一定とし、複利計算しています。

・「長割り終身」の*印(834万円)は保険料19,316円を2万円とした場合、60歳時点の解約返戻金額805万円を比例倍した金額です。

・「長割り終身」の年金額は、805万円を利回り0.99%で運用しながら受け取れるとした場合の年金額です。(終身保険なのでこのようなことはできませんが。)

・「長割り終身」の累計年金額は、70歳時点で解約した場合の解約返戻金の推定額です。(利回りは0.99%)

・「個人年金保険」の利回りは個人年金保険料控除による利益(24年度からの税制で計算すると節税額は約20万円)は考慮していません。

表より、推定利回りは「長割り終身」が優れていることが分かります。

60歳時点で貯蓄額は「個人年金保険」が819万円、「長割り終身」が834万円と推定されます。

これは「長割り終身」が低解約返戻金となっているためで、60歳以前の解約では払込保険料の70%程度しか返金されないことになります。

「個人年金保険」では死亡時は既払込保険料相当額が、解約時は元本割れにはなりますが「長割り終身」よりは多く返金されます。

また「個人年金保険」では所定の高度障害状態になると保険料の支払いが免除され、60歳から所定の年金が支払われます。

では私はFPとしてどちらをお勧めするのかと問われれば、どちらもお勧めしません。

理由は長期固定金利商品だからです。

この商品は、現時点では高利回りのように見えますが、10年もしたらばかばかしいほどの低金利商品となっているでしょう。(いわゆるお宝保険とは反対の商品になってしまいます。)

したがって、この2商品を今契約しても、金利の上昇とともにやがては中途解約せざるを得なくなります。

そう考えた場合「長割り終身」は低解約返戻金契約なので積立期間中に解約すると大きく元本割れしますから出来るだけ避けた方が良いでしょう。

個人年金保険」は利回りもまあまあですし個人年金保険料控除も使えますから、いずれ解約することを前提に貯金のつもりで契約してもよいでしょう。



金利が上昇した場合、理論的には配当金も運用状況の改善に伴って増加する可能性はありますが、現実は保険料の60%ぐらいが日本国債で運用されているため、金利上昇により国債価格は暴落しますから、保険会社が幸いにも生き残っていたら、保険契約は継続するものの配当金は”0円”となっていると考えられます。

ではどうしたらよいのか?

とにかく利回り重視、または保険の効率性の観点から私がお勧めするとしたら、

貯蓄なら米ドルか豪ドルの定期預金またはMMF
生命保険なら10年の定期保険または収入保障保険、あるいは外貨建て終身保険
がよいと思います。

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