2010年4月12日月曜日
金融商品として保険を見たら
「保険に入ったら儲かるか?」について私見を述べます。
生命保険(死亡保障)については、言い方は悪いと思いますが仕組みは「宝くじ」と同じです。
万が一不幸があったら、保険料の数千倍の保険金が得られますので、儲かったことになります。
客観的な評価としては還元率(投資に対する戻って来る確率、保険の場合は原価率となります。)で見ますと、宝くじは47%(300円投資し、141円分が還元される)です。
ちなみに競馬は還元率が75%もあり良心的です。
さて保険はどうでしょう。
保険の場合、投資元本が保険料になりますが、還元されるお金のことを「純保険料」といいます。
還元しない保険料を「付加保険料」(会社の運営経費等)といいます。(図参照)
「付加保険料」はこれまで秘密にされて来ましたが、2008年にライフネットが初めて公表しました。
同社のHPから定期死亡保険の還元率(純保険料率、原価率)は64%~82%となっています。宝くじよりは良心的ですね。
他社はどうでしょうか?
30歳男性、保険金額5000万円の場合、ライフネットでは他社の保険料の46%引きした保険料が5640円(他社の54%の金額)となっています。
したがって他社の保険料は 5640÷54%=10,444円 と推定されます。
ライフネットのHPより、このときの純保険料が4448円ですから、他社の還元率(原価率)は4448÷10444≒43%になります。
大手生保の目安としてはこのぐらいと思いますが、40%以下の会社もあるようです。
(日経ヴェリタス2009年05月24日の記事から計算すると、大手生保A社の還元率は32%でした。)
結論としては、「ぼったくり」に近いですね。
保険は見かけ上「保険金」が数千万円、数百万円と高額なので、1万円、2万円の保険料が安く感じられてしまいますが、実態は契約者に支払われるお金(「純保険料」)の平均は3割ぐらいしかなく、保険料の7割近くが保険会社の手数料となっているのです。
預貯金の場合は、預金額は全額(100%)が払い戻され、銀行等の事務手数料は利子の一分(今はほとんどの部分)から取られるため、元本割れとなることはありません。(図参照)
このへんのからくりを契約者が知らないことと、自分に必要な保障額を理解していないことがこのような極めて低い還元率(つまり保険料がバカ高い)となっている原因と私は考えます。
たとえば、医療保険などのお祝い金などは、お菓子に付いている「おまけ」と一緒です。
100円のチョコレートに30円分のおまけが付いていると、子供はおまけが欲しいので、30円のおまけのために100円を払います。
もしそのおまけだけが30円で売られていたら、わざわざ100円を支払う子供はいなくなるでしょう。
でも同じ原理である保険のお祝い金をうれしがる人が多くいます。
保険は損得から考えると損な商品です。
しかし僅かなお金で高額な保障が買えます。
ですから、保険は「高額」な保障を買うことが賢い方法で、1~10万円程度のわずかな保障のために特約保険料を支払うのはバカげています。
でも契約者の無知につけこむ保険が多くあります。
特にパッケージタイプは無駄な保障がてんこ盛りされています。
その結果、日本の保険は高くなりすぎています。
訳の分からない保険が多すぎます。
しかし、だからと言って私は保険に入らなくていいとは考えていません。
万が一に備えることは家族に対する責任として当然です。
ですから契約者はより賢く保険商品を品定めすることが必要だと考えます。
私は、このブログを通じ、少しでも保険を知ってもらえるお手伝いができれば嬉しいなと考えています。
参考
金融商品として保険を見たら(その2)
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