2010年5月19日水曜日

こんなに手厚い社会保険(年金の補足)

障害年金の障害等級について。(国民年金、厚生年金、共済年金共通)
ケガや病気により身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害がある場合、いずれかの年金に加入していれば65歳以前において障害年金がもらえます。

認定の基準となる障害等級表は、国民年金、厚生(共済)年金いずれも共通しており、1、2級(重度)については国民年金からは「障害基礎年金」が給付され、3級(軽度)については厚生(共済)年金からは「障害厚生(共済)年金」が給付されます。

厚生(共済)年金加入者に国民年金から障害基礎年金が給付される理由は、厚生(共済)年金加入者が国民年金の2号被保険者となっているためです。
2号被保険者には65歳になると国民年金からは老齢基礎年金(いわゆる1偕部分(定額))が給付され、厚生(共済)年金からは老齢厚生(退職共済)年金(いわゆる2偕部分(報酬比例))が給付されます。

このため厚生(共済)年金からは国民年金へ基礎年金に相当する拠出金が支払われています。
この拠出金を原資として、国民年金から1、2級の障害のある1~3号被保険者に対して障害基礎年金が給付されます。

3級の障害者については、厚生(共済)年金の独自給付として障害厚生(共済)年金が給付されます。
したがって、1号(自営業)と3号被保険者(サラリーマンの妻)には3級の障害があっても障害厚生(共済)年金は給付されません。

障害等級の認定基準は以下のとおりです。

国民年金、厚生(共済)年金の障害等級表
【障害基礎年金】
1級障害
年金額 792,100円×1.25倍+子の加算
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。具体的には、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることが出来ず、活動の範囲が、病院ではベッド周辺、家庭では室内に限られるもの。

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

2級障害
年金額 792,100円+子の加算
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。具体的には、必ずしも他人の介助は必要無いが、日常生活が極めて困難で、活動の範囲が、病院では病棟内、家庭では家屋内に限られるもの。

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平行機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声または言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢の親指と人差し指または中指を欠くもの
7 両上肢の親指と人差し指または中指の機能に著しい障害を有するもの
8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 1上肢のすべての指を欠くもの
10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 1下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるものの他、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

【障害厚生(共済)年金】
3級障害
年金額 (厚生年金の報酬比例年金額) ※最低保障額 594,200円
傷病が治癒したものにあっては、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
傷病が治癒しないものにあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの

以下のいずれかに該当するもの。
1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 1上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
6 1下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
7 長管状骨に疑関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 1上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ、1上肢の3指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ1上肢の4指の用を廃したもの
10  1下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
11  両下肢の十しの用を廃したもの
12  前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13  精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14  障害が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生大臣が定めるもの

準3級障害(3級より軽度の障害の状態)
一時金 障害手当金
傷病の治癒後、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。
(なを、準3級障害として認定され、障害手当金を一旦受給してしまうと、その後、障害の程度がどんなに悪化した場合でも、他の新たな傷病を発症していない限り、障害年金を再度請求することは出来なくなります。)

注1:障害者手帳に記載された障害等級と、国民(厚生)年金保険法の規定する障害等級は必ずしも一致しません。(年金の障害認定基準の方がより厳しくなっています。)
また労災保険の障害(補償)年金の障害等級1~14級についても、まったく基準が異なっています。

注2:一般の保険会社の販売している定期保険、終身保険における「高度障害」は障害基礎年金の1級障害に概ね相当しています。
傷害特約及び保険料払込免除特約の身体障害の状態は、概ね2級障害に相当しますが、保険会社により違い(基準の明確化と厳格化)が大きいと言えます。


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