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2015年4月23日木曜日

未来の保険はどうなるのだろう ?(その1)


少子高齢化により保険業界はじり貧の状況です。
たぶん現状の商品内容や販売チャネルではこの壁は越えられないのでは。

そこで未来の保険について考えて見ました。

とりあえず保険の発生経緯と意義、問題点を整理し、未来の保険がどのようなものなのか一案を示すことにします。


基礎から分かる保険のしくみ」にも書きましたが、保険が発明される以前は困っている人を皆でささえる仕組みとして「頼母子講」がありました。

参考
頼母子講とは、加入者が持ち寄ったお金をその時々でお金が必要な人に与える仕組みで、地域によっては、「無尽(むじん)」や「ユイ」「模合(もあい)」と呼ばれ、未だに引き継がれている土地があります。


頼母子講は、相互扶助を理念とする地域村落における小規模な金融システムですから、一家の働き手が死亡し残された遺族の生活を補償するような大きな金額を拠出することはできません。

その後統計学が発展し、危険が綿密に分析計算されるようになり、即座に大きな金額を支払える保険の仕組みができあがりました。

保険会社では、統計学や確率論、金融工学そして医療技術に精通した人材を抱え、今では遠い遠い将来までも補償する終身保険などが販売されています。

終身保険では、契約すると保険料は今すぐ集めますが、保険金の支払いは遠い将来となります。

そのため保険会社は集められた保険料の一部(当然ピンハネされますから保険料全額が積立されることはありません)を将来の支払のため責任準備金として積み立てて運用しています。

1999年ごろに多くの保険会社が経営破綻しましたが、その原因は責任準備金の運用において契約者に約束した予定利率が高すぎ(バブル時に低価格競争に走った)、現実の運用利回りがそれよりもかなり低くく、逆ざやとなったためでした。
(この逆ざやが2013年、約20年ぶりにやっと順ざやとなりました。アベノミクス様々です。)

保険会社にとってはこの逆ざやが経営上の大きなリスクとなっています。
10年先、20年先の金利などはいくら予測したところで当たる確率は0であり、はっきり言って保険会社の経営とはどんぶり勘定の上に成り立っています。

一方この逆ざやを防止する対策としてALM(Asset Liability Management)が導入され、資産サイドのポジションを負債に合わせて長期化させていますが、日本国債の暴落リスクを抱え込むことになりますから、私はALMもヤバイと思っています。

保険会社にはこのような問題点があり、予測できない遠い将来までも保障しようとすることに本来ムリがあるのです。

ではどうしたらよいのかというと、結局損保や共済のように単年度決算しかないと私は考えています。

単年度決算とは、1年ごとに収支を計算し、剰余金を契約者に配当する方式で、責任準備金の運用はしなくてよいので長期の運用リスクからはフリーとなります。

しかし消費者側にとって一生の保障が必要な人はどうしたらよいのかという問題が出ますが、それは後述することにします。


この他に消費者側から見た保険会社の大きな問題点として付加保険料が極めて高いことがあげられます。

保険契約者に給付されるお金が支払った保険料の40%程度(純保険料)しかありませんから、60%は保険会社の儲け(付加保険料)となっています。(いわゆるぼったくり保険)

なぜ保険会社はぼったくりをせざるを得ないのか。

その理由の一つは保険の販売には手間暇がかかり多くの営業職員を抱えざるを得ないこと。
もう一つは長期のリスクへの対応として、純保険料に安全率を過度に上乗せしているためです。(私の推定では純保険料を2倍ぐらいに膨らませているのでは。)

付加保険料60%(保険会社の取り分)という事実を消費者が知ったら保険なんてばからしくてだれも契約しないと思われますが、多くの保険契約者はこの事実をまったく知りませんから「安心」を買えてよかったと思い込んでいます。

でも消費者はいつまでもアホではありませんから、やがては大手生保も見限られる日が必ず来るでしょう。(じり貧の保険業界はそうした傾向に気づき始めています。)

一方保険に対するニーズはいつになってもありますから、これからの消費者に受け入れられる未来の保険がどんなものになるのか。


私が考える一つの結論は、クラウドファンディング(Crowdfunding)を利用した現代版「頼母子講」です。

少し飛躍があるのかもしれませんが、金融の世界はITと親和性が高く、ITと金融の融合はFinTech(フィンテック)と言われています。

保険もいずれはこのフィンテックに取り込まれてしまうのではないかと私は考えています。
その一つの形態として私はクラウドファンディングを利用した現代版「頼母子講」がフィンテックによる一つの保険の未来形態だと思うのです。

いつまでもGNP(義理・人情・プレゼント)で保険を売る時代ではないのです。


参考
・クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す

このようなアイデアを書くと、保険の専門家などからはシステム開発や加入の診査、給付の審査はどうするのかとつっこまれそうですが、・・・まあなんとかなるでしょう!

私は適当に誤魔化したつもりはなく、例えばソフト開発などでは巨大企業でも難しいことを個人レベルのボランティアたちによりできてしまうことが世界中のあちこちで散見されます。

そして今ではギークが育てた無国籍通貨と言われている「ビットコイン(仮想通貨)」まで出現をしています。


みずほ銀行はシステム障害で世間を騒がせていますが、次期システム開発費は2500億円だそうです。

大型コンピューターを使ったオンラインシステムに経費がかかるのでしょうが、インターネット技術だけでメインフレームなし、しかも暗号強度の高い仮想通貨をギークたちは作ってしまったのですから驚きです。

こうした仮想通貨を富士通などで開発することは多分無理ではないでしょうか。(彼らはどうしてもメインフレームにこだわります(これを売るのが富士通の商売です)から頭が固いのです。)

ですから頭も行動も柔軟なギークたちがおもしろがるテーマをネットの世界に放り込むと、超難しい問題もあっという間に解決されてしまうのが今のインターネットの世界なのです。

彼らの知恵が使えるのなら加入や給付の診査なども・・・なんとかなるでしょう!
というよりもあまり気にしなくてよいのかも知れません。

それよりも大事なことは、「頼母子講」は多くの人たちの善意の集まりですから、保険料は純保険料が100%(原価率100%)でなければなりません。

システム管理費用とかでピンハネすることになると、ボランティアで助けたいと思う人がいなくなってしまいます。


では、現代版「頼母子講(Tanomoshi-ko)」とはどんなしくみになるのか、一案を記します。

つづく


未来の保険はどうなるのだろう ?(その2)



保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。





2015年4月22日水曜日

未来の保険はどうなるのだろう ?(その2)



現代版「Tanomoshi-ko」のしくみ


1 加入

・加入者は既往症や年齢で差別されることはなく、どの加入者も一律の掛け金です。
(多分月額2,000円ぐらいが目安と考えます。)
・1ヶ月単位で掛け金を支払うことで「Tanomoshi-ko」の会員になれます。
・会員資格は掛け金支払い月のみ取得できます。
・掛け金は会員の口座に積み立てられます。(このお金は当然会員のものです。)
・会員はいつでも止めることができ、いつまでも続けることができ、中断再開は自由です。
・止めるときには当然口座の残金が払い戻しされます。


2 給付

・病気、災害などにより死亡または入院手術、要介護などの身体的な原因により臨時の費用が必要になった人がネット上のCommittee(審査委員会:複数設置)に必要金額及び証拠書類などを提出し給付金を申請します。(もしかしてペットもOKになるかもね。)

・申請できる回数は1年に1回とし、保険事故発生前6ヶ月間に掛け金の未納が無いこと。

・Committee関連

-Committeeの責任は申請内容の虚偽の判定と必要金額の妥当性の審査だけです。

-Committeeメンバーは7人とし、会員の自薦他薦により選ばれ、常に会員からの評価により入れ替えが行われます。

-Committeeメンバーは国籍、職業、年齢などは秘匿されIDで識別されます。

-申請者に依怙贔屓しないようCommitteeと申請者はランダムに組み合わされます。

-Committeeメンバーは複数のCommitteeに所属できます。

-Committeeの議事内容は個人情報に配慮しつつ全会員に公開されます。


・申請内容が妥当と認定された申請者に対して会員は自分の口座から寄付を行います。

・寄付金を合計した給付金額はCommitteeの認定した必要金額には拘束されません。

・寄付金の受付期間はそれぞれの申請者が決定し、給付金の支払いをもって終了します。

・会員の口座について寄付した合計金額と掛け金合計額が比較され当該会員の拠出率が算出されます。
(拠出率=寄付金合計額÷掛け金合計額×100%)

・拠出率は会員が給付金を受け取る際に係数として掛けられます。
(寄付を行わないと拠出率0%なので給付金は受け取れないことになります。)

・加入期間(掛け金払込回数)により給付率が増加し、1回分支払うごとに2%ずつ給付率が加算されます。給付率は給付金を受け取る際に係数として掛けられます。

例:掛け金12回分支払(1年)は給付率24%、36回分(3年)は給付率72%、50回分(4年と2月)で給付率100%、50回を超える回数には1回につき0.5%づつ給付率が加算されます。
 前納はできますが、50回分までは期間経過とともに逐次給付率が加算されます。


3 給付の具体例

  以下の事例はたぶんこうなるのではと私が想像した事例です。

【事例1】
30歳男性が事故で死亡、妻(子一人)から2,000万円の申請があった場合
掛け金12回支払(給付率24%=12回×2%)、拠出率80%、
他の会員からの寄付金合計額1,000万円

  1,000万円×24%×80%=192万円(給付金額)

寄付金との差額808万円はプールされ、長期加入者への給付金に充当されます。


【事例2】
40歳女性、乳ガンで10日間入院・手術、離職、30万円の申請があった場合
掛け金50回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額200万円

  200万円×100%×100%=200万円(給付金額)


【事例3】
50歳男性、交通事故で死亡、妻なし、子から1,000万円の申請があった場合
前納100回分、3年経過時、拠出率50%、
他の会員からの寄付金合計額100万円

  100万円×72%×50%=36万円(給付金額)


【事例4】
60歳女性、若年性認知症(要介護2)、100万円の申請があった場合
掛け金200回支払、拠出率60%、
他の会員からの寄付金合計額80万円

  80万円×(100%+150回×0.5%)×60%=84万円(給付金額)


【事例5】
70歳男性(会社経営)、肺がんで死亡、遺族より1億円の申請があった場合
掛け金300回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額800万円

  800万円×(100%+250回×0.5%)×100%=1,800万円(給付金額)

不足する1,000万円はプールされた寄付金から自動的に充当されます。


【事例6】
5歳女性、重傷心不全、心臓移植費用5,000万円の申請があった場合
掛け金12回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額1.8億円

  1.8億円×24%×100%=4,320万円(給付金額)


注意
*寄付金は会員個々の善意にもとづき行われるため、10万円の申請に1000万円の寄付の場合も、1000万円の申請に10万円の寄付という場合もあります。

*寄付金ですから不服申し立てはできません。

*給付金額の計算の結果、給付金額が寄付金合計額を下回る場合には、その差額は長期加入者への給付金に充当されます。

*長期加入者への給付金がさらに不足した場合は会員口座から一律に徴収されます。

*単年度決算の結果、プールされた寄付金に剰余金があれば拠出率に応じて会員に配当されます。

*集められた掛け金の全てが給付金として分配されるよう、またインフレに対応できるよう掛け金額、給付率などが1年に1回調整されます。(純保険料100%が原則です。)


4 現代版「Tanomoshi-ko」の問題点

(1)法制上いろいろの問題がありそうです
 ○保険業法(たぶん保険とは言えないと思います。寄付型Crowdfunding?)
 ○所得税法、贈与税法、相続税法
 ○出資法
 ○消費生活協同組合法
 ○個人情報保護法
 ○その他いろいろ

(2)システム開発
  現状のクラウドファンディングの寄付型をベースに開発すればちょこちょこっと出来そうな気がします。

  純保険料100%が理想なのですが、そうするとまったくのボランティアとなり、開発費やその後の技術改善が進みませんから、保険料から少し分け前(1%ぐらい)をもらうことにします。

  保険加入者の裾野は大変広く、このシステムに加入すると考えられる会員数は約2000万人(川島FPの夢)とすると、一人月額掛け金2,000円として試算した年間の営業利益は約48億円にもなります。

 Tanomoshi-koはきっと宝の山になるだろうと私は確信しています。
 さあ始めるのなら 今、でしょ!

(3)お役人との交渉
 もしかしたら必要ないのかも

(4)個人情報の管理
 個人名と住所などを秘匿しIDで管理すればなんとかなるのでは
  例:YouTube

(5)詐欺やなりすまし
 マイナンバーで管理することでかなり個人を特定しやすくなると思われます。

(6)そして最後の問題点、368兆円を債券や株式市場で運用している”ザ・セイホ”が消えて無くなるかも。30万人近い雇用も失われます。たぶん10年後には・・・


5 以上をまとめた「Tanomoshi-ko」の特徴

このシステムは保険の意義であるセーフティーネットの機能を明らかに持っています。

保険代理店や営業職員がいませんから完全に中抜きした純保険料99%のシステムが作れます。

個人個人からの寄付ですから時々の厚生政策や医療技術の進歩、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できそうです。要は会員のコンセンサスで寄付金額が決まります。

一般庶民のコンセンサスなのでお金持ちには冷たいかも知れません。
(この辺の差別はとてもセンシティブですからCommitteeで倫理問題などを議論されると不快なので、なるべく機械的に処理してくれると嬉しいですね。)

可哀想な人には寄付が多く集まると思われますから税制の機能である所得再配分効果が期待できそうです。

保険の即効性としては多少劣りますが、みんなに公平ですし原価率99%ですから若いときから加入しても損はないと思います。(社会奉仕の一環として考えることもできるのでは。)

単年度決算ですからインフレ、デフレには強いと思います。

ほぼ掛け捨てですが、自分の寄付金が不運な人の役に立っているという実感が持てると思います。(ただし寄付者と受給者の交流の場を設定すべきかどうかは慎重な検討が必要です。)

将来いくらもらえるのか不確定ですからご安心くださいとは言えませんが、とりあえず自助努力として拠出率と給付率100%を目指し、あとは合理的な内容で申請すれば妥当な給付金が受け取れると思いますが・・・


さてあなたはこの「Tanomoshi-ko」に入りたいと思いますか?


未来の保険はどうなるのだろう ?(その1)



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