医療保険とがん保険について、6種類の病気やけがで入院したときの各商品からの給付見込額(推定値)を比較してみました。
各商品はなるべく保険料が近くなるように選んでいます。
特約などは不要な保障が多いので先進医療以外は付けていません。
保険会社によっては「特約」を重点的に売っているところもあるかと思いますが、お客様の立場からは、「いらないものは付けない」という方が多いと思いますので、そのようにしています。
では以下に細部を記しますのでご覧ください。
医療保険は「人気の医療保険を比べて見ました(その1)」を参照してください。
それぞれの病気のときの自己負担額はこちらを見てください。
見積りは、終身型のがん保険で、50歳、男性、終身払としています。
選定したがん保険の各商品の保険料は、次のとおりです。
○オリックス生命の【がん保険 Believe】月払保険料 5,467円
○アフラックの「生きるためのがん保険Days(デイズ)」(ベースプラン)月払保険料 4,939円(フォルテより682円安くなりました。)
○アリコの【終身タイプがん保険(SKKプラン)】月払保険料 4,463円
○ネクスティア生命(nextia生命)の
【カチッと終身がん(充実プラン)】月払保険料 3,480円
(カチッとがん保険は定期型になります。)
■医療保険
NKSJひまわり生命【健康のお守り】月額保険料 4,966円
グラフに人気の医療保険とがん保険の給付割合を比較しました。
給付割合とは、自己負担額を100%としたときに、各保険からの給付金がどのくらいになるのかを%で表しています。(がん診断給付金については初回分を含む額となっています。)
たとえば、200%なら自己負担額の2倍も給付金がもらえることになります。
グラフを見ると、がん保険は飛び抜けて給付割合が多いことが分かります。
自己負担額の2.5倍から約6倍も給付金がもらえます。
具体的例として、胃がんの場合は、自己負担額は高額療養費制度がありますから、医療費が290万円かかっても、実際に支払う金額は差額ベッド代を含めて47万円程度です。
これに対してオリックス生命の【Believe】からは合計196万円(初回の推定額、2回目は96万円)ももらえます。(給付割合は420%、自己負担額の4.2倍)
たいへん得した気分になると思いますが、その分しっかりと保険料は取られています。
この例から、はたして47万円の入院費用に対して196万円ももらう必要があるのでしょうか。
保険は病気などのときの経済的なリスクに備えることが目的なのですから、リスクの4倍も手厚く保障を確保する必要性はまったくありません。
現状のがん保険の販売状況を見ると、つぎのような背景が見えてきます。
保険会社はまず保険料をお手頃な価格に設定し、それに合うように保障内容を設計します。
お手頃価格とは、医療保険と横並びの価格帯になります。
保障内容は、医療保険が病気やけがのすべての入院について給付金を支払っているのに対して、がん保険は「がんだけの入院」を保障していますから、信じられないような高額な給付金が支払われることになっています。
つまり適切な保障内容などはまったく考慮されることはなく、売りやすい保険料に魅力的な保障を詰め込んだというのががん保険の実体です。
一方契約者側も、お手頃な保険料で高額な保障が得られるので「お得」感があり、がんへの恐怖心も手伝ってフラフラと契約してしまっているようです。
さてこのグラフから私のアドバイスは次のとおりです。
1 医療保険は、どの病気やけがの場合でも自己負担額(100%のライン)をほぼカバーできているので、これだけで保障は十分です。
2 がん保険はいりません。
3 どうしてもがん保険に入りたい方はこちらをご覧ください。
参考
がん統計データ集
「ガン保険の選び方」
「医療保険とガン保険どっちがお得?」