2010年7月23日金曜日

終身保険を貯蓄性で比較してみました

2012/4/4 更新
ニッセイみらいのカタチ「終身保険」を反映しました。

終身保険は、バブル期以来カタカナ生保やネット生保が増えた割には商品数が増えていません。
反対に商品数が減少しているのではないでしょうか。

その理由としては、超低金利による貯蓄性の低下(商品としての魅力低下)と、保険会社として財務健全化のためには、長期リスクを取りたがらない傾向もあるのではないでしょうか。

一方定期保険については、付加保険料率の低い優良な商品が多数発売されてきており、花盛りの様相です。

さて、めぼしい商品がない終身保険をここに取り上げる理由は、読者の皆様に「終身保険の現状」をご理解いただきたいと思ったからです。

掛け捨ての保険は損した気分になるので、貯蓄性の保険を選ばれる方がいますが、超低金利の状況において、わずかしかない利子から保険会社に手数料を取られたら、元本が増えるわけがありません。

ですから、世の中の保険は掛け捨て型が多くなっているのです。


以下に取り上げましたのは4社の商品です。
前提として、30歳男性、保険金額1000万円、60歳払済としています。

積立の利回り及び据置時の利回りは同一とし、独自に計算し推定しています。
推定の要領は、80歳(30歳男性の平均余命が50年)時点で、約1000万円が貯まっているとした場合の利率を計算しています。(実際は保険会社の利益が上乗せされますから、予定利率としてはもう少し高くなっていると思います。)

【アフラック】
WAYS
保険料 17,440円
保険料累計 6,278,400円
推定利回り  1.35%
80歳時点での貯蓄額 1,004万円

【かんぽ生命】
特別終身保険
新ながいきくん(おたのしみ型)
保険料 24,000円
保険料累計 8,640,000円
推定利回り  0.6%
80歳時点での貯蓄額 1,063万円

注:かんぽ生命は、60歳(払込満了時)から5年毎に4回に分け200万円が給付され、その都度保険金額が給付額分減額されます。したがって、80歳時点での死亡保障額は200万円となります。このため、累計では1000万円の給付額ですが、前払いしている分の複利効果により、支払累計額は約1,057万円に相当します。利回りの計算では、これを考慮し、80歳時点で1,063万円となる利率を記しています。

【明治安田生命】
ゆとりーむE
保険料 19,250円
保険料累計 6,930,000円
推定利回り  1.07%
80歳時点での貯蓄額 1,005万円

注:払込満了時までは解約返戻金が低くなっています。

【日本生命】
ニッセイみらいのカタチ「終身保険
保険料 20,970円
保険料累計 7,549,200円
推定利回り 0.82%
80歳時点の貯蓄額 1,003万円 
(保険料払込期間終了後は、死亡保険金のお支払いに代えて年金として受取ることも可能です。
とアナウンスされています。)

この4社では、アフラックの「WAYS」がもっとも利回りがよくなっています。

しかしいずれの終身保険も固定金利商品です。
30歳でこの終身保険に加入した場合、以後50年間もこのような低金利商品に数百万円も預けることになります。

もしその50年間にインフレとなり、銀行預金の利率が8%となったらどうでしょう。
銀行に10年間預けたら元本が2倍以上になります。

そうした場合、ほとんどの契約者は終身保険を解約し、銀行預金に殺到するのではないでしょうか。

インフレは必ず来ます。
従ってこのように利回りが低く、しかも固定金利のまま50年間も貯蓄することはいかにもバカげています。

したがって、現状ではFPとして私がお勧めできる終身保険はありません。

参考
人気の外貨建て保険を利回りで比較してみました

明治安田生命の「年金ひとすじワイド」はお得か?

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