アフラックで比較します。
前提
50歳(男性)
☆アフラックのがん保険Days(デイズ)
月払保険料4,860円(ベースプラン、終身払い)
☆もっと頼れる新EVER(ベースプラン5000円)
月払保険料4,869円(終身払い)
(新EVERには特約として、総合先進医療、三大疾病増額、長期入院を付けています。)
右の表を参照してください。(表はクリックすると拡大します。)
表の自己負担額の右側は、それぞれの病気に対して各商品から給付される見込額(推定額)を示しています。
まず、がん保険Daysは「がん」・「上皮内新生物」以外の病気(糖尿病・胃潰瘍など)やケガでの入院・手術は保障の対象外です。
新EVERは、病気やケガで入院したり、所定の手術を受けた場合などに給付金を受け取ることができる保険です。
では胃がんなどの重大な病気になったときの実際にかかった費用と、この2種類の保険からの給付見込額を比較してみましょう。
生命保険文化センターの資料より、胃ガンで26日入院した場合、自己負担合計額は467,671円です。
がん保険Daysからの給付額は、入院26万円、初めて診断100万円の合計126万円となります。
ちなみにDaysの前のがん保険であるフォルテではこの他に年金40万円、手術20万円などが加算されて合計196万円(推定)が給付されますからDaysはフォルテに比較し給付額が縮小され割高になっています。
新EVERからの給付は、入院13万円、三大疾病増額13万円、手術(開腹)20万円、合計46万円(推定)となります。
同資料より、脳梗塞で51日間入院(手術なし)した場合、自己負担合計額は548,973円です。
Daysからの給付額は、当然0円です。
新EVERからの給付は、入院給付金が約51万円(推定)給付されます。
表の下のレーダーチャートは、6種類のケガや病気のときに各保険から給付される給付額が自己負担額のどのくらいの割合なのかを示しています。
中心の薄紫色の六角形が100%となります。つまりこの六角形の外側にグラフがあれば保険からの給付金で支出がすべてまかなわれるので、お財布から支払う必要がなくなります。
新EVERは、この6種類のけがや病気に対して自己負担額をほぼカバーできています。
Daysは、がんについては自己負担額の2.7倍から3.7倍も給付金がありますが、それ以外はまったく出ないので、心筋梗塞や脳梗塞になった場合を考えると30万円から50万円もの自己負担となりますから大きな不安を残すことになります。
保険料に対する給付額を比較したコストパフォーマンス(表の下段参照)は、医療保険に比較しがん保険が優れています。(見方についてはこちらをご覧ください。)
これは、がん保険がここに取り上げた2種類のがんの場合だけに給付しているのに比べ、新EVERは他の1000種類の手術の場合にも給付金が支払われるので、広く薄くなってしまっているからです。
また保険診査の手間暇もがん保険は医療保険に比べ簡単ですから、その分給付額が多くなっているものと考えられます。
厚生労働省の人口動態調査(平成19年)によると、年間の死亡者数111万人に対し、悪性新生物(いわゆるガンのこと)による死亡者数は約34万人(30%)でした。心疾患が18万人(16%)、脳血管疾患13万人(11%)となっています。
つまりは、悪性新生物以外で死亡する確率は70%もあるということです。
したがって、がんだけが重大な病気というわけではありません。
ご参考にこちらもご覧ください。
ガンだけに特化し、高額な(手厚い?)保障が貰える保険とは、病気やけがに対するリスクと医療費負担とのバランスから考えると、果たして適切なのでしょうか?
長い人生、がんだけがリスクではないと思うのは私だけでしょうか。
ガン保険の実態は、特定の病気だけに保険給付を限定しているため、支払った医療費分だけ保険給付した場合、それに見合う月額保険料はせいぜい数百円程度にしかなりません。
そこで保険会社の利益をかさ上げするため「ガンに手厚い保障」と言う謳い文句で、「ガンの診断」に100万円給付(国内生保では300万円)などと「手あつすぎる給付」をいっぱい付け、医療保険と同程度の保険料として販売されています。
つまりがん保険の高額な給付金や手厚い特約は客単価をアップさせることが主な目的であり、セールストークとしても「売りやすい」保障と価格にしているのです。
ガンになることを心配されていられる方は、安い保険料と魅力的な特約に幻惑されてしまうかも知れませんが、入院確率と給付、そして保険料のバランスを考えると、医療保険に比べて極めて「いびつ」な保険と言わざるを得ません。
客観的に見てこのような「がん保険」をなぜ売っているのか、私は理解に苦しみます。
たぶん契約者側の不安な心理がこのような商品を作らせているのでしょう。
(保険会社としては、医療保険よりもガン保険の方が利幅が大きく、積極的に売りたいようです。そしてなにより「売りやすい」のです。)
したがってFPとしては「ガン保険」は積極的にはお勧めしません。
ただし、国民共済など入院給付額が不十分な保険との組み合わせはよいかも知れません。
または、60歳以降で医療保険が高額な場合の選択支としてご検討されるのもよいでしょう。
(その際は特約は少なくし、ガン診断給付額も30万円以下でよいでしょう。)
さてあなたは「がん保険」買いますか?
参考
がん統計データ集
「ガン保険の選び方」
「医療保険を選ぶ基準」
「人気の医療保険を比べてみました」
「人気の医療保険とがん保険を比べてみました」
「がん保険を検討されているあなたへ」
「医療保険とがん保険を検討するときに参考となる入院日数、医療費等の資料」
保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。