2011年1月10日月曜日

第一生命のメディカルエールはお得か?



(表はクリックすると拡大します。)

2013/10/24
新CURE(キュア) はおすすめか? EVERと比べてみました。

2014/01/06
第一生命(株)「ブライトWay」についてのFPの評価(その1


新商品「順風ライフ パワーメディカル」の評価はこちらです。



ついに第一生命も単品の医療保険を発売しました。

「医のいちばんNEO」などに続く株式会社化記念商品第2弾の商品で、第一生命としては、初の無配当タイプの商品となるそうですが、外資系生保の世界から見ると20年ぐらい遅れている感じがします。

無配当の保険は保険料が安くなりますが、保険料の高値安定を死守してきた国内生保も、保険の低価格化についに観念したようです。
(主力商品である「堂堂人生」および「主役人生」も2011年1月に販売停止となっており、国内大手生保では商品の低価格化とパッケージ商品から単品商品への流れが始まったと考えられます。)
無配当タイプの解説についてはこちらをご覧ください。


さて、第一生命の新商品「メディカルエール」についてFPとして分析評価してみたいと思います。

評価の指標として人気の「CURE」(オリックス生命)と「やさしくそなえる医療保険」(アリコ)を例に比較してみました。
(この2商品の評価はこちらをご覧ください。)

前提は、男性55歳、終身医療保険、終身払いとしています。
入院限度日数60日、入院日額1万円は共通です。
3商品を比較した表を上に示しています。

「メディカルエール」の長所は、手術の対象範囲が拡大され、保険適用の手術1000種類に加えて先進医療に該当する手術ついても入院中に行われた場合は一律入院日額の20倍(20万円)が給付されます。

また、乳ガンの治療などに行われる放射線治療についても60日間に1回、入院日額の10倍(10万円)が給付されます。

別の観点からの利点ですが、49歳までは割安な「定期型」、50歳以降は一生涯の保障が得られる「終身型」の商品構成で、定期型からは診査・告知なしで終身医療保険に移行できる「メディカルスイッチ」があります。

「メディカルスイッチ」は第一生命の既契約者にとっても大きな利点があります。

それは、昭和51年3月以降に契約された入院関係特約も対象(終身保険を主契約とする特約)となっており、診査・告知なしで終身型のメディカルエールに移行できるので、入院当初の不担保日数も日帰り入院からに変更できますし、対象手術も1000種類に拡大することができます。


平成10年以前に契約している貯蓄型(終身保険や年金保険など)の保険は予定利率が3%超のお宝保険ですから「メディカルスイッチ」などに惑わされず、下取りなどの提案はきっぱりと断りましょう。

保険料については、変更する時点での被保険者の年齢で計算されますから、高くなりますが、最新の医療データに基づき算定されるため、保証範囲が拡大する割には従来よりも低く抑えられています。

(業界初の古い特約からの乗換措置を可能とさせた目的は、推測として第一生命の既契約者の解約、流出を防止することにあり、そのための受け皿として作られたのではないかと考えられます。)

欠点は、先進医療保障がないことです。極めて残念です。

他の医療保険では重粒子線治療は先進医療として1000万円レベルまでを保障していますが、メディカルエールでは一般の手術と同様の扱いで20万円の給付だけです。

また生活習慣病については、入院期間が長期化しますが、メディカルエールでは長期入院+入院日額の上乗せがセットになってしまっているので、保険料が割高な特約になってしまっています。

長期入院への備えとしてはCUREの「7大疾病は120日保障」が適切な保障と考えます。

この3商品についてコストパフォーマンス値を計算してみました(表下段)。

この数値より、同じ保険料なら「やさしくそなえる医療保険」は「メディカルエール」の1.27倍(=352÷277)の給付金がもらえます。


最後にFPとしての評価です。
保険料は、営業社員を通じての販売ではたぶんこれ以上は下げられないぎりぎりの価格なのでしょうが、通販に比べて3割近くも高いので太刀打ちできるものではありません。
商品の魅力もイマイチであり、第一生命の既契約者以外にはメリットがないので私はお勧めしません。

参考
医療保険を選ぶ基準


保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。