(図はクリックすると拡大します。)
2014/01/06
第一生命(株)「ブライトWay」についてのFPの評価(その1)
新商品「順風ライフ パワーメディカル」の評価はこちらです。
これまでに第一生命㈱の保険として、主力商品の「堂堂人生」と終身医療の「主役人生」を取り上げました。
今回、人気のプロゴルファー石川遼くんをCMに起用して『順風ライフ』(順風人生の新型)が同社より新発売されました。
(「石川遼のような保険」っていったい何なのでしょう? まあ大手生保にありがちなイメージ先行で、契約者は中身は分からなくてもいい、というのが保険だと考えているのでしょう。)
『順風ライフ』を今回は分析しますが、単品の解説だけだとますます何がなんだか分からなくますから、<第一生命の主力商品の比較>(表を参照)をして、その違いと特徴を説明したいと思います。
まず各商品の発売時期ごとに一連の流れを追って解説します。
平成20年10月に『順風人生』が発売されています。
先行する「堂堂人生」と平行して販売されていますから、バージョンアップではなく、『順風人生』は人生シリーズの一つとして位置づけされています。
「堂々人生」と『順風人生』の違いは、主契約が更新型の【定期保険】から更新なしの【終身保険】に切り替えられたことです。
なぜ変更したのか?
堂々ファンドが不人気だからです。
(口コミ情報によるとネット上にあまりよくない噂が広がり、解約が増えているようです。)
「堂堂人生」の主契約は、一見終身保険っぽく見えて、その実更新のある【定期保険】なのですから、「堂堂人生」全体が10年ごとに保険料がどんどん高くなる仕組みとなっています。
その結果、解約が増加するので、この防止を図るため、昔は主流であった定期付終身保険をリバイバルさせ、主契約を【終身保険】とした『順風人生』が発売されたのだと考えられます。
『順風ライフ』は『順風人生』発売後2年に満たずに発売されたバージョンアップ版です。
パソコンやソフトのバージョンアップ版は性能が向上しますが、『順風ライフ』はダウングレードされています。
最低の終身保険金額が『順風人生』の100万円から50万円に引き下げられています。
また医療保険(医のいちばんNEO)は入院限度日数が60日型を選択できるようになりました。
その分実質的な値下げがされています。
『順風ライフ』で唯一保障が充実したのが、8大生活習慣病入院特約です。
第一生命㈱では、この特約を最大のアピール項目としていますが、従来の生活習慣病にプラスして、腎臓疾患、肝臓疾患、すい臓疾患が追加されただけであり、厚労省平成17年患者調査によると、それぞれの患者数が入院患者数に占める割合は、
肝疾患 0.9%
腎疾患 1.8%
すい臓疾患 0.2%
この3疾患を合計しても入院患者に占める割合は2.9%程度ですから、石川遼くんを引っ張り出すほどのことでもありません。
ではなぜ『順風人生』発売後2年に満たずに『順風ライフ』を発売したのでしょう。
推測として、主力商品の「堂堂人生」や『順風人生』からの契約者の流出や新規契約者数の減少があるのではないでしょうか。
(過去5期の第一生命の保有契約高は減り続けています。原因として「少子高齢化による死亡保障ニーズの低迷等により、 保有契約高は減少しました。」とHPでは説明されています。)
それを防止するため、『順風人生』より低価格な『順風ライフ』の発売に踏み切ったのだと思います。
たぶん商品としては『順風人生』発売時には『順風ライフ』は出来ていたのではないかと私は推測しています。
ここ数年のネット通販の伸びが急激なため、「低価格化」の流れに抗しきれず、しぶしぶお蔵入りさせていた『順風ライフ』を発売したのでしょう。
『順風ライフ』の特徴は石川遼のような保険ではなく、『順風人生』の低価格版と言ったほうが適切です。
しかしこのフレーズでは他の商品への影響が大きいので、あまりアピールされていません。
注:最新の同社HPでは、堂々人生にも「8大生活習慣病入院特約」や「医のいちばんNEO」が選択できるようになっています。堂々人生も実質的な値下げがされています。それならばテレビCMで「堂々人生」も「石川遼のような保険」って大々的にアピールすればよいと思いませんか?
注:2011年1月、ついに「堂堂人生」と「主役人生」が販売停止となりました。
「8大生活習慣病入院特約」や「医のいちばんNEO」の投入によるてこ入れも効果がなかったようです。
したがって現状では「順風ライフ」が主力商品となりました。
さて、『順風ライフ』はFPとしてお勧めか?
私の意見は、「堂々人生」と似たようなモノなので、お勧めしません。
商品構成が複雑で、重複した保障が多く、付加保険料も高く、保険料は更新ごとに上がるため、とても一生涯契約を続けてゆけない商品だからです。
普通の人には保障内容が複雑すぎて理解できません。
そして高額すぎます。
通販なら同一保障で半額以下の商品が多数ありますから、かしこい消費者にはこのブログを参考にぜひ価格重視で保険商品を選んでください。
他方、第一生命㈱というブランドを選ぶ方もおられるかと思いますが、7月現在のS&Pの格付けはシングルAです。
アメリカンファミリー生命はAA-(第一生命㈱より2ランク上)ですし、ほとんどのネット通販の会社は、第一生命㈱などの国内大手生保よりも格付けが上回っています。
参考
ソルベンシーマージン比率(新基準)
ネクスティア生命 3400%
ソニー生命 1700%
東京海上日動あんしん生命 1700%
かんぽ生命 1150%
マニュライフ生命 1000%
AIGエジソン生命 770%
大同生命 720%
富国生命 670%
明治安田生命 660%
住友生命 640%
第一生命 550%
日本生命 530%
アフラック 510%
オリックス生命 460%
朝日生命 360%
%の値が大きいほど支払余力が大きい。
200%以下が行政指導の対象。
保険料の低価格化、営業職員の削減による経営の効率化、責任準備金の運用能力向上(逆ザヤ解消)、これらに関して国内大手生保は一層の改善努力が必要です。
日本の大手生保(かんぽ含む)は保険の原価率がほとんどが30%程度しかなく、極めて悪質な保険を販売しています。
これからは経営努力により、保険の原価率が50%を越える必要があります。
FPとして私は、原価率50%以下はお客様にお勧めしておりません。
お客様の理解と納得の得られる単純かつ低価格な保険を私はお勧めしています。
参考
医療保険を選ぶ基準
人気の医療保険を比べて見ました
人気の医療保険とがん保険を比較してみました
がん保険の正しい選び方
死亡保障を割安な保険料にする方法
保険会社の原価率比較
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