2011年9月5日月曜日

長期の就業不能に対する保障は必要なのだろうか?(その1)

東京海上日動あんしん生命から「メディカルKit(医療総合保険)」が8月に発売になりました。

入院日数の短期化や保険点数にリンクした手術保障への要望の高まりなどがこの保険の発売に至った経緯として説明されています。

つまり患者負担と医療保険からの給付に生じたアンバランスを修正することが目的のようです。
加えて長期の就業不能への保障を付加しています。

長期の就業不能保障とは、がん、急性心筋梗塞、脳梗塞、肝硬変、慢性腎不全などの療養費が高額で、そして長期の通院治療などが必要な疾病について1年に1回100万円を給付するというものです。

これまではがんなどの「診断」に対して一時金が給付される保険はありましたが、新たに上記疾病を直接の原因として「30日を超えて就業不能状態が継続」したと「診断」されたときに一時金が給付(1年に1回を限度)される保障が医療保険に付加されました。

「メディカルKit」の保障については、手術対象の範囲が88種から保険適用のほぼ全ての手術に拡大されたり、放射線治療給付金が新設されたりと保障内容が充実しましたが、まあ流行に乗っただけの話なのでここでは取り上げません。

参考
「メディカルKit R」の評価はこちらです。


さて今回は「メディカルKit」の評価と言うより「長期の就業不能保障」の必要性について健康保険(傷病手当金)との関係から考えてみたいと思います。

同種保険として先行したアクサの「収入保障」のがん保険はすでに取り上げました。

私の評価としては「ムダの多い非効率な保険」と結論づけました。

しかし方向性としてはそんなに的外れではないと考えています。


がん治療の現況として、悪弊であったなんでも切る「手術絶対」から徐々に放射線治療などのQOL(Quality of life)を重視するより効率的な患者にやさしい医療になりつつあります。

薬物療法も分子標的薬等が開発され、がん細胞だけをピンポイントで攻撃でき治療効果が高く副作用も少ない薬が使用できるようになってきています。

分子標的薬の一例
慢性骨髄性白血病  イマチニブ
大腸がん ベバシズマブ、パニツムマブ
肺がん ゲフィチニブ
乳がん トラスツズマブ
胃癌  テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

このように「手術+抗がん剤」による長期入院から、「切らない治療+副作用の少ない薬」による入院期間の短縮化と通院治療が多くなりつつあります。

従って現在の「入院日数による保険給付」という仕組みが必ずしも医療の実体に合わなくなってきていると言えます。

これへの対応策として2つの方向性があります。

ひとつは明治安田生命の「医療リンクシリーズ」やアクサの「治療保障」などの治療行為等のほぼ100%について給付をする方法。

もう一つがアクサ生命の「収入保障」や東京海上日動あんしん生命の「長期の就業不能保障」などの治療費+生活費を年単位で大まかに保障する方法。

明治安田生命の「医療リンクシリーズ」についてはすでに投稿しました。

方向性は評価できるものの、不要な保障を盛りだくさん付けているため、保険商品としてはまったくお勧めできないものになっており、極めて残念な結果と思っています。

「長期の就業不能保障」に対する評価については次回に投稿します。



長期の就業不能に対する保障の必要性(その2

長期の就業不能に対する保障の必要性(その3