2011年6月25日土曜日

金融商品として保険を見たら(その2)


(表はクリックすると拡大します。)


以前の投稿で保険の付加保険料について預貯金と比較し説明をしました。

今回はもう少し広く金融商品等(法的には含まれないものもありますが)の手数料と比較して保険がいかに損な商品であるのか説明したいと思います。

上の表に各金融商品等の手数料の一覧を示しています。

この手数料は、厳密な数値ではなくかなり適当なものなのですが、当たらずといえども遠からずの値と思ってください。

以下順次、各商品等の手数料について説明してゆきます。

まず「オプション取引」です
「オプション取引」とはデリバティブの一種で、株式などを特定の値段で売るまたは買う「権利」を売買することです。

「権利」の値段ですから、実体の株式の値段の100分の1ぐらいがオプション料となります。

生命保険は、このオプション取引に類似した商品と言えます。

死亡や高度障害など万一の場合に「保険金を受け取れる権利」を保険料というわずかなオプション料で買っているのです。

「オプション取引」は投機に利用されることもありますが、市場が暴落した際の「保険」として多くが利用されています。

このオプションを買う(売る)ときの手数料はほとんどが約定代金の1%以下ですし、権利放棄をした場合は手数料は0円となります。

次に預貯金ですが、預貯金の手数料はどの金融機関も明らかにしていませんから、独自に推計すると、預かったお金で10年国債を買うと1.2%の利回りになりますから、1.1%を手数料として、0.1%(以下)を預金者に還元していると推定しています。

銀行は、短期で借り入れて長期で運用し、リスクを取るとともにサヤを稼いでいると思われます。

外国為替証拠金取引(FX)は各社のスプレッド競争により外貨預金の手数料などに比べてかなり安くなっています。

「買い」と「売り」両方でスプレッドが掛けられますから2倍にしてあります。(公的には手数料0円ですが、投資家にはスプレッドが実質的なコストになります。)

株式の売買も一時期ネット証券側から価格破壊が仕掛けられ、かなり安くなりました。

株式も「買い」+「売り」でダブルでコストが掛かります。

外貨MMFは片道1米ドルあたり25銭ぐらいではないでしょうか。

高金利通貨だと足下を見てぼったくりもありますが、この数値は良心的な値を採用しています。

投資信託は、手数料3%、信託報酬1.6%としています。(こちらは多少悪意的な値です。)

ですから買付時は合計4.6%、10年間保有した場合は、信託報酬が合計16%も取られますから、手数料を含めると投資額の19%がコストになっています。

こんなに取られたら投資家が儲かるわけないと思いませんか?

閑話休題
上限金利が18%となり、消費者金融の会社も経営不振のため銀行系列に入るのが増えています。銀行はお金を借りてくれる企業がないので国債を買うか子会社に高金利で貸し付けして、利ざやを稼いでいます。
このような経営はあまり健全とは言えないような気がするのですが・・・
いずれにしろコスト18%はとんでもない金利ですから近づかないほうがよいと思います。

競馬、宝くじは「夢」を買うのですから、コスト云々は度外視してもよいのでしょう。

でも「夢」が半分に縮んでしまったらとても悲しいですね。

さて最後に「保険」です。

信じられないくらいの高コストです。

世の中にこんな商品を買う人がいるのか・・・

いないので、保険営業の人が脅しをかけて無理矢理契約をさせています。

コストはそのための経費です。

保険は、リスクも高いのです。

当たれば高額保険金、外れれば0円というのが保険ですからハイリスク・ハイリターンの金融商品です。

株式を購入して、紙くずになったら心臓が止まるほど驚くと思いますが、保険は保険料が戻らないことを当然のように考えられています。

むしろ健康で良かったとさえ思ってしまいます。

また他の金融商品は増えることを前提に皆投資をしますが、保険だけは「掛け捨て」と言ってはじめから元本を放棄してしまっています。

このへんの契約者側の心理が利用されて、高いコストが当然のように保険料に上乗せされているのです。

同じ仕組みのオプション取引が1%以下の手数料なのに比較し、100倍以上も手数料を取っている異常さはあきれるばかりです。

したがって保険はできる限り避けるべき金融商品と言えます。

でも遺族保障をどうしたらよいのか? という疑問もあるかと思います。

貯蓄などの金融資産がないか少ないご家庭については、やはり必要最低限度の死亡保障にしぶしぶ加入せざるを得ないと思います。

収入保障保険やネット専業保険会社の商品ならコストが20~30%のものがあるので、お勧めします。

医療保険やがん保険は、40代ぐらいから、貯蓄が少ないならまあまあ考えても良いかもしれません。

20~30代の独身ならまったく保険に加入しなくてもよいでしょう。

注: 貯蓄ができない人には保険は必要かも知れません。

最後に私が言いたいことは、

「金融商品はコストとリスクで選ぼう!」

参考
保険会社の原価率比較

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