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2015/7/27
がん統計データ集
「成人の3人に1人ががんで死亡する!」というショッキングなコピーがありました。
保険屋さんがよく使うフレーズです。
でも統計値は往々にして「部分の数値だけが一人歩き」してしまいます。
このコピーを見て「がん保険に飛びついた」方もおられのではないでしょうか。
さて、がんによる死亡率がいったいどの程度なのか事実関係を正しく知っていただくために、参考となる資料をまとめてみました。
出展元は、国立がん研究センターがん対策情報センターの「全国がん罹患数・率推定値1975-2004年」及び厚生労働省の「人口動態調査(平成18年)」です。
表1に年齢階級別の人口、死亡者数、がん死亡者数、生存率、死亡率、がんで死亡する割合をまとめています。
死亡率は、その階級における1年間の死亡者数を(生存者数+死亡者数)で割った値です。
生存率は、その階級における生存者数を(生存者数+死亡者数)で割った値です。
がんで死亡する割合は、その階級の死亡者数に占めるがんによる死亡者数の割合です。
黄色のラインの年齢階級60-64歳では、死亡者数の48.3%が「がん」が原因で亡くなられています。
つまり二人に一人が「がんで死亡した。」と言えます。
しかし、全体の死亡率を見ると、0.7%ですから、がんによる死亡者は0.34%程度となります。
つまり「99.6%の人はがんで死亡することはなかった。」と言うことです。
年齢階級別ではなく全体ではどうでしょう。
表1の合計欄では、年間の死亡者数が約111万人おられます。
その内、がんにより亡くなられた方が約34万人おられます。
年間の死亡者の30.4%が「がん」が原因なので、毎年約3人に1人は「がん」で亡くなられていることになります。
表2は統計が異なりますが、毎年の死亡者に占める死因別のトップ10をまとめたものです。
「悪性新生物」いわゆる「がん」が1位です。
ここで注目していただきたいことは、「がん」が30.4%、心筋梗塞などの「がん」以外が約70%もあることです。
つまりがんで死ぬよりも、がん以外で死ぬ確率の方が高いのです。
死亡保険や医療保険を考える場合には、「心配だから」ではなく定量的、合理的、そして経済的に保険を選ぶことが大切だと思います。
参考
「ガン保険の選び方」
厚生労働省 「死因別死亡確率」