(表はクリックすると拡大します。)
参考: JAの「がん共済」の評価はこちらです。
新医療共済のテレビCMに仲間由紀恵さんが出演されていますが、長い黒髪がすてきです。
ここで蘊蓄を少し。
JA共済は、本来は農家(農協組合員)の方たちの助け合い(共済、営利を目的としない。)から始まったのですが、農家の減少とともに組合員以外の人たちの利用(員外利用、本来は全体の20%以下に制限あり)がだいぶ増えているようです。
(テレビCMを流す目的が農家向けだと思っている人はいないと思いますが。)
したがって、JA共済の実態は生保、損保を扱う巨大保険会社ですし、CMを流すことはハッキリ言って営利を目的としているとしか考えられません。
さて、「新医療共済」の保障はつぎのとおりです。
50歳(男)として試算しています。
共済掛金(保険料) 17,379円(80歳払済)
入院共済金(入院日額) 10,000円(3000円から500円刻み)
(120日型、他に200日と365日型あり)
入院見舞保障 50,000円
手術 5万円~20万円(がんは2倍、手術1000種類)
がん重点保障特則 10,000円
放射線治療 10万円(がんは2倍)
先進医療保障 技術料相当額(通算1,000万円まで)
この保障内容と保険料について人気のある終身医療保険アリコの「やさしくそなえる医療保険」、アフラックの「新EVER」と比較してみます。
上の表をご覧ください。
「新医療共済」の保険料は、アリコの「やさしくそなえる医療保険」の2.7倍、アフラックの「新EVER」の3.8倍あります。(累計額でもほぼ同様の倍率となります。)
では、保険料が高い分給付がすばらしいのかとこの3商品からの給付割合を比較してみると、表の下のレーダーチャートのようになっています。
レーダーチャートの見方
真ん中の薄紫色の六角形が主要なケガや病気のときの自己負担額(100%)の範囲となります。
この自己負担額とは、医療費の3割負担分と差額ベッド代などを含んだ金額になります。(自己負担額の詳細はこちらをご覧ください。)
ですから、グラフの線がこの六角形よりも外側(100%以上)なら、お財布から支払った金額(自己負担額)以上に給付金がもらえることになります。
さて「新医療共済」からの給付割合は、がんの場合だけ他社の2倍となっていますが、心筋梗塞や脳梗塞などでは「やさしくそなえる医療保険」と大差ありません。(いずれも入院見舞金5万円の差だけです。)
従って3倍近い保険料に見合う給付額となっていないと言えます。
ちなみに、アフラックのがん保険Daysは保険料4860円で、胃がんの場合は126万円給付されます。
アフラックの医療保険と合計しても保険料が9740円(「新医療共済」の保険料の約4割引)で、胃がんの場合の給付額は合計182万円(「新医療共済」の給付額の約2倍)にもなります。
保険の善し悪しは、保険料と給付額のバランスで評価しなければなりません。
つまりコストパフォーマンスについて定量的に数値化する必要があります。
表の下に独自に算定したコストパフォーマンス(川島CP値)を示しています。
これは保険料1円あたりの給付見込額となります。
この数値より、同じ保険料なら「新EVER」は「新医療共済」より約1.8倍給付額が多くなります。
逆に、同じ給付額なら「新医療共済」は「新EVER」の1.8倍高い保険料と言えます。
以上の分析より「新医療共済」は給付額に対して割高な保険と言ってよいと思います。
JA共済は、国内生保と同様非効率な経営により、結果としてこのような割高な保険を販売しているのではないでしょうか。
したがって私は、農家の方にも員外利用者にもこの保険をお勧めしません。
がん共済ではおすすめのものがあります。
がん共済の評価はこちらをご覧ください。
「共済」の研究(共済と保険の違い)
コストパフォーマンス(川島CP値)についてはこちらをご覧ください。
保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。