2010年6月14日月曜日

介護保険の基礎(その3)


(図はクリックすると拡大します)

介護保険を検討する前提として、国の保障制度の全体を把握する必要があります。
表に社会保険制度として障害者等に関する保障内容をまとめていますので参考としてください。

介護の問題は、家族への精神的・肉体的負担が大きいことがあげられますが、保険がカバーできることは費用負担の面についてだけです。

○介護費用
訪問介護の場合、要介護4の方が訪問入浴・看護・介護など受けて月約3万円ぐらいの自己負担となります。

施設介護の場合は、
特別養護老人ホーム(ユニット型個室)で要介護5の人の場合の月額は、
1割の自己負担額28,230円
住居費    49,200円
食費      19,500円
合計  96,930円
となり、老齢基礎年金6.6万円+厚生年金10万円があれば、なんとかまかなえる金額です。

参考:費用の自己負担額
また、平成20年4月に「高額医療・高額介護合算療養費制度」が導入され、同じ世帯で医療と介護の両方を利用した場合には、年単位で、自己負担の軽減が図られています。
具体的には、70歳未満の方の世帯(一般の所得者)について、健康保険または国民健康保険及び介護保険の被保険者の場合、年間の自己負担限度額は67万円となっています。

介護については、直接的な費用の他に住宅のバリアーフリー改修や補助器具の購入に費用がかかりますが、公的介護保険から9割の補助があります。(福祉用具購入(10万円/人・年)及び住宅改修(20万円/生涯))

バリアーフリー改修費用については、リフォーム減税で工事費用の10%相当が所得税から1年間控除される制度もあります。

また、「住宅版エコポイント」について、住宅のエコリフォームに合わせてバリアフリー改修を行うと、手すりの設置で5,000ポイント、廊下等の拡張で25,000ポイントがもらえます。

□介護保険についての私のアドバイス
介護については、年齢的にやはりその94%が65歳以上の方となっています。
64歳未満で介護保険から給付を受けられる痴呆や寝たきりとなる可能性は極めて低いと言えます。

参考データはこちらにあります。

また介護費用についても、訪問介護及び施設介護は月額1万円から10万円の費用で利用でき、関連するリフォーム費用等も国や自治体からの補助等がありますから、数百万円を一時金で準備する必要はありません。

そしてなにより、だれが要介護状態となるのかが分かりません。
夫婦のいずれか、または夫婦の両親4人のだれになるのかが特定できないで、保険に加入した場合、被保険者以外が要介護状態となったら保険の解約が必要になるかも知れません。

以上のことから、介護費用については、貯蓄性が悪く柔軟性のない「保険」で備えるよりも、老後資金準備として長期的にこつこつと「貯蓄」で備える方をお勧めします。