2018年3月22日木曜日

パート収入と税金と社会保険の基礎知識(その2)


2016年10月からパートでも年収106万円以上の人は社会保険に加入できる(せざるを得ない)ようになりました。詳細はこちらをご覧ください。

一方、パートの奥さんを扶養している旦那さん(納税者)の配偶者控除の適用範囲が平成30年から拡大されます。(税金が安くなります。)

配偶者控除とは、奥さんを養っているといろいろと出費が嵩んで大変でしょうと、奥さんのための支出については税金を掛けないよう配慮してくれています。

奥さんの中には、ブランドバックを買い、豪華なランチを食べている派手な人や、貯蓄が趣味という地味な人もいますが、不公平にならないように、奥さんのための予算額は一律38万円と決められています。(配偶者の収入が103万円までは、課税所得が0円なので、旦那さん(納税者)の配偶者控除額は満額の38万円となります。)

このため、旦那さん(納税者)の所得からは奥さんのための金額として38万円が差し引かれ(非課税となる)、残った金額(課税所得)に税金が掛けられます。

でも奥さんのパート収入が104万円になったら控除額が0円というのも可哀想なので、141万円まではだんだんと控除額を減らすように考慮されていました。

一方、2016年10月からパートでも厚生年金や健康保険に加入できるようになり、これまでの103万円の壁を乗り越える奥さんたちが増えつつあります。

しかし奥さんの収入が伸びても、社会保険料の負担や、旦那さんの配偶者控除がなくなってしまうハンデなどにより、家計としては思ったほどには収入が伸びていません。

そこで、「103万円の壁」「106万円の壁」「141万円の壁」を乗り越えても家計収入がグンと伸び、パートの労働人口も増えるよう、政府は配偶者特別控除を大幅に拡大しました。

これまでは、奥さんの収入が141万円以上なら、納税者本人、つまり旦那さんの収入から差し引ける配偶者特別控除額は0円でしたが、平成30年よりこれが201万円に拡大されたのです。

平成29年4月財務省パンフレット「税制改正」より(図をクリックすると拡大します)

この図の説明
これまでは、奥さんの収入が103万円以内なら配偶者控除は満額の38万円でしたが、平成30年からは、これが150万円に拡大されたため、パート収入が150万円以内なら、旦那さんの収入から満額の38万円を差し引くことができます。(税率が20%なら税金が7.6万円安くなります。)

奥さんの収入が150万円から201万円の間は、この控除額が38万円からだんだんと下がり、201万円となったら、配偶者特別控除額は0円になります。

注意
これが適用されるのは、旦那さん(納税者本人)の収入が1,120万円以下の場合です。また内縁関係では配偶者控除は適用されません。

この図より、拡大されたのは配偶者特別控除であり、配偶者控除については現行どおりとなっています。

なぜ配偶者控除を変更しなかったのか不思議なのですが、多分配偶者特別控除の方が、簡単に変更でき、いつでも元に戻せるので財務省にとってはさじ加減をしやすかったのではないでしょうか。

いずれにしても夫婦の家計にとっては年間数十万円も収入が増やせるので、パートの奥さんは103万円の壁を乗り越えバンバン稼ぎましょう。

そうすることで、人手不足も解消し、日本のGDPも右肩上がりとなり、景気回復に多大の効果が出る・・・かも知れません。

参考
①妻の収入が多く、夫の収入が150万円という場合は、妻が納税者本人となり、夫が配偶者として前記の配偶者特別控除が納税者本人(妻)に適用されます。
②共働きで育休中の妻の場合、育児休業給付金には所得税がかかりませんから、納税者(夫)に配偶者控除、配偶者特別控除が適用される可能性があります。(年末調整や確定申告により税金の還付を受けられます。)


その1



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