2016年2月12日金曜日
外貨建て一時払い年金保険の手数料の実態
1月末「金融庁が銀行での保険窓販の手数料率開示を保険会社に要請」したとのこと。
待っていました。 金融庁ガンバレ!
しかし保険業界や銀行は総力を挙げて「手数料率開示」を潰すか、法案を骨抜きにしてしまうかも知れませんね。
この業界にとっては、現状のマイナス金利で青息吐息ですから、稼ぎ頭の保険の窓販は死活問題となっています。
2016/5/25
案の定、金融庁は銀行に泣きつかれて、今年10月から予定されていた「手数料率開示」を先送りしてしまいました。極めて残念です。
2016年9月1日
「市場リスクを有する生命保険の販売手数料を開示するにあたって特に留意すべき事項」
でもいつまでも消費者を欺き続けることはできないことをこの業界は知るべきであり、米国の実情からすると、遅かれ早かれ保険販売の手数料は白日の下にさらされることでしょう。
証券業界では、投資信託の販売手数料や信託報酬が明示されており、保険に比べるとその透明性は高く、しかもその金額は1%程度と割安です。
一方保険は、営業者や銀行、保険相談窓口などが幾らぐらい手数料を貰っているのかまったく契約者に知らされていません。
したがって保険の窓口や銀行などではこれを隠れ蓑に、お客様に最適と言いつつ、担当者の手取り収入が高くなる商品をおすすめしています。
今かりに、保険の営業者が、平均月に2件(月額保険料1万円×2件)の契約を取ることで15万円の給料をもらっているとすると、1年間では保険会社に156万円の保険料収入があり、給与として180万円を支払っていることになります。
つまりこの段階では手数料は115%(保険料収入を上回る)ととんでもない高い割合となっています。
これでは保険会社はまったく儲かりませんが、2年目になると既契約者数の増加に伴い保険料収入が合計732万円に増え、給与は180万円のままですから、保険会社としてはかなり儲かり始めます。(この段階でも手数料の割合は25%です。)
この2年間について営業者一人が取った契約を合計すると、保険料収入が合計888万円、その内3割が解約したとすると、保険料収入は約620万円となり、給与の支払額は360万円ですから、手数料の割合としては58%になります。
保険契約は長期の契約であり、保険の営業者は最初の2年間について契約が継続している場合にのみ給与に反映されますから、相対的に手数料の割合は50%以下に低下します。
ネット生保が割安となる理由がこの営業者に支払われる50%近くの手数料をなくせるからなのです。
さて今回の金融庁のお達しは「銀行窓口で販売している貯蓄性保険の販売手数料率」だけのようですが、なにを隠そう私も保険会社にいたときは、この種の保険を売って儲けさせていただきました。
注意
儲けたのは私だけではありません。私がこの商品を売っていた頃は、リーマンショック直後で、超円高であり、外貨の金利も高かったので、ご契約頂いた皆様は超ハッピーとなられたものと思われます。
私は、お陰様で外貨建て保険の販売により優績者セミナーに参加でき、新宿で懐石料理をご馳走になり、ルミネtheよしもとを見たり、シェラトン東京ベイに1泊し浅草を観光させてもらったりと良い経験をさせていただきました。
この頃に私がいただいた手数料は、一時払い1000万円の契約に対して25万円~30万円でした。
保険会社は、年金保険の一時払いの段階で6%の鞘を抜いていますから、その内の2.5%~3%(保険会社の利益の半分程度)を私は手数料としていただいたことになります。
ニッセイのロングドリームGOLDは手数料として7%も鞘を抜いていますから、銀行への手数料はたぶん4%~5%ぐらいが支払われているものと思われます。
参考
一部情報によると、一時払い額の8%も銀行に支払っている保険会社があるとのこと。(1000万円の外貨建て年金保険を契約した方は、ばからしいことに銀行に手数料として80万円も支払っているのです。)
しかも銀行は一時払い(円から豪ドルへ)の段階で為替手数料もぼったくりますから、例えば1000万円を豪ドルに替える際に1豪ドルあたり50銭の手数料を取るので、合計約67,600円の手数料収入となります。(この手数料は豪ドルから円に替える際にも取られます。)
ということで保険を売っている側からすると、これを売ったら来月の給料が幾らになるのかしか考えていないのです。
あなたの将来のことなど知ったことではない! ・・・が本音なのです
ですから一日も早く手数料を開示させなくては・・・と善良な(^^;)FPは思っています。
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