2015年12月14日月曜日

有配当保険と無配当保険 どっちがお得?


保険証券に「有配当」と書いてあると幾らぐらい貰えるのか結構期待してしまうのではないでしょうか。

近年アベノミクスにより保険会社はかなり儲けていますし、積年の逆ざやも解消しているため「配当再開、増配」が増えています。

大手生命保険会社の増配相次ぐ!・・契約者配当に期待して保険に入る?!

一方近年は保険料の安い無配当保険が多くなっています。
では、どっちがお得なのか?

無配当保険は配当金を支払わないことで保険料が割安になっています・・・とか目先の保険料の安さを強調する説明がされていますが、「どっちがお得なの?」という根本的な疑問への答えにはなっていません。

高い保険料には高いなりの、安い保険料には安いなりの保険会社側の理由がそれぞれあり、安い方がお得ですと安易には答えられないのです。

無配当保険は割安な保険料を求める消費者の要望に応えるため・・・と表面的な説明の裏では当然保険会社として儲けるための仕組みが隠されているのです。

それは何かと言えば、保険会社にとっては配当金は将来の負債となります。そこで保険会社としては将来の負債となる配当金をなくしてしまいたいという根本的なインセンティブが働いており、そのコンセプトに基づいて設計され販売されている商品が無配当保険なのです。

これは保険会社の財務健全性を確保するために導入されたALM(Asset Liability Management)にもとづく保険商品と言えます。

配当金をなくすことができれば、保険会社は契約者に約束した予定利率で安全確実に運用(長期国債による運用)していれば、世の中の金利がどうなろうとまったくリスクフリーなのです。

例えば無配当の年金保険(保険期間30年、一括受取額100万円)について契約すると、保険会社は受け取った保険料で30年国債(利回り1.36%)を買い、契約者には予定利率1%を約束(保険会社が0.36%のさやを抜いている)することで安全確実に儲けることができるのです。(実際は中途解約などがあり複雑です。)

そうして将来長期金利がどうなろうと、配当金は支払わなくて良いので、保険会社はじっと国債の償還を待っていればよいのです。

この具体的なイメージとして、例えば標準利率が1%なら有配当保険の予定利率は1.5%、無配当保険なら現実の運用利回りにより近い2%と高めに設定され、利回りが高い分将来責任準備金の増え方が多くなる(この場合約8%多い)ため、その分だけ無配当保険は保険料を割り引くことができます。(この場合保険料は約7.4%ぐらいの割引きとなります。)

では契約者としては無配当保険はどうなのか?

契約者にとってもっとも問題となる点はインフレとなった場合です。

例えば長期金利が6%を超えるようになると、物価は当然それに応じて値上がりします。

注意
本質的には物価があがるのではなく、お金の価値が下がってしまうのがインフレなのです。

このような場合、有配当保険では予定利率を上回る運用益はその80%以上を配当金として契約者に返してくれますが、無配当保険ではなにがあっても当初の約束どおり無配当のままなのです。

つまり保険会社だけがガッチリ儲かることになります。

そうすると30年後、契約者は一括受取額100万円を受け取りますが、世の中は超インフレによりあんパン1個が100万円になっているかも知れません。

現状の財政状況を考えればいつ国債の暴落(長期金利の上昇)が起こっても不思議ではありませんから、私は50%ぐらいの確率であんパンが100万円になっていると思っています。

一方有配当保険では予定利率1.5%を超える運用益の80%を配当金として契約者に返してくれますから、一括受取額+配当金で多分あんパン100個分ぐらいが買えるかも知れません。

以上のように長期の保険契約では、インフレを考慮すると無配当保険は気を付けなければいけないということです。

特に貯蓄型の年金保険や介護保険などの無配当保険は、現状としてはやめた方がよいでしょう。

超低金利が固定され、まして将来金利が上昇しても配当金が出ないなんてまったく金融商品としてはあり得ないものと私は考えます。

注意
無配当保険でも変額保険では運用実績による利益が保険金額に反映されます。

割安な保険料の裏には保険会社側がリスクフリーとなり、契約者が金利上昇リスクを負担するという仕組みが隠されているのです。


割安な保険料にだまされてはいけません!



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