2015年4月22日水曜日
未来の保険はどうなるのだろう ?(その2)
現代版「Tanomoshi-ko」のしくみ
1 加入
・加入者は既往症や年齢で差別されることはなく、どの加入者も一律の掛け金です。
(多分月額2,000円ぐらいが目安と考えます。)
・1ヶ月単位で掛け金を支払うことで「Tanomoshi-ko」の会員になれます。
・会員資格は掛け金支払い月のみ取得できます。
・掛け金は会員の口座に積み立てられます。(このお金は当然会員のものです。)
・会員はいつでも止めることができ、いつまでも続けることができ、中断再開は自由です。
・止めるときには当然口座の残金が払い戻しされます。
2 給付
・病気、災害などにより死亡または入院手術、要介護などの身体的な原因により臨時の費用が必要になった人がネット上のCommittee(審査委員会:複数設置)に必要金額及び証拠書類などを提出し給付金を申請します。(もしかしてペットもOKになるかもね。)
・申請できる回数は1年に1回とし、保険事故発生前6ヶ月間に掛け金の未納が無いこと。
・Committee関連
-Committeeの責任は申請内容の虚偽の判定と必要金額の妥当性の審査だけです。
-Committeeメンバーは7人とし、会員の自薦他薦により選ばれ、常に会員からの評価により入れ替えが行われます。
-Committeeメンバーは国籍、職業、年齢などは秘匿されIDで識別されます。
-申請者に依怙贔屓しないようCommitteeと申請者はランダムに組み合わされます。
-Committeeメンバーは複数のCommitteeに所属できます。
-Committeeの議事内容は個人情報に配慮しつつ全会員に公開されます。
・申請内容が妥当と認定された申請者に対して会員は自分の口座から寄付を行います。
・寄付金を合計した給付金額はCommitteeの認定した必要金額には拘束されません。
・寄付金の受付期間はそれぞれの申請者が決定し、給付金の支払いをもって終了します。
・会員の口座について寄付した合計金額と掛け金合計額が比較され当該会員の拠出率が算出されます。
(拠出率=寄付金合計額÷掛け金合計額×100%)
・拠出率は会員が給付金を受け取る際に係数として掛けられます。
(寄付を行わないと拠出率0%なので給付金は受け取れないことになります。)
・加入期間(掛け金払込回数)により給付率が増加し、1回分支払うごとに2%ずつ給付率が加算されます。給付率は給付金を受け取る際に係数として掛けられます。
例:掛け金12回分支払(1年)は給付率24%、36回分(3年)は給付率72%、50回分(4年と2月)で給付率100%、50回を超える回数には1回につき0.5%づつ給付率が加算されます。
前納はできますが、50回分までは期間経過とともに逐次給付率が加算されます。
3 給付の具体例
以下の事例はたぶんこうなるのではと私が想像した事例です。
【事例1】
30歳男性が事故で死亡、妻(子一人)から2,000万円の申請があった場合
掛け金12回支払(給付率24%=12回×2%)、拠出率80%、
他の会員からの寄付金合計額1,000万円
1,000万円×24%×80%=192万円(給付金額)
寄付金との差額808万円はプールされ、長期加入者への給付金に充当されます。
【事例2】
40歳女性、乳ガンで10日間入院・手術、離職、30万円の申請があった場合
掛け金50回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額200万円
200万円×100%×100%=200万円(給付金額)
【事例3】
50歳男性、交通事故で死亡、妻なし、子から1,000万円の申請があった場合
前納100回分、3年経過時、拠出率50%、
他の会員からの寄付金合計額100万円
100万円×72%×50%=36万円(給付金額)
【事例4】
60歳女性、若年性認知症(要介護2)、100万円の申請があった場合
掛け金200回支払、拠出率60%、
他の会員からの寄付金合計額80万円
80万円×(100%+150回×0.5%)×60%=84万円(給付金額)
【事例5】
70歳男性(会社経営)、肺がんで死亡、遺族より1億円の申請があった場合
掛け金300回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額800万円
800万円×(100%+250回×0.5%)×100%=1,800万円(給付金額)
不足する1,000万円はプールされた寄付金から自動的に充当されます。
【事例6】
5歳女性、重傷心不全、心臓移植費用5,000万円の申請があった場合
掛け金12回支払、拠出率100%、
他の会員からの寄付金合計額1.8億円
1.8億円×24%×100%=4,320万円(給付金額)
注意
*寄付金は会員個々の善意にもとづき行われるため、10万円の申請に1000万円の寄付の場合も、1000万円の申請に10万円の寄付という場合もあります。
*寄付金ですから不服申し立てはできません。
*給付金額の計算の結果、給付金額が寄付金合計額を下回る場合には、その差額は長期加入者への給付金に充当されます。
*長期加入者への給付金がさらに不足した場合は会員口座から一律に徴収されます。
*単年度決算の結果、プールされた寄付金に剰余金があれば拠出率に応じて会員に配当されます。
*集められた掛け金の全てが給付金として分配されるよう、またインフレに対応できるよう掛け金額、給付率などが1年に1回調整されます。(純保険料100%が原則です。)
4 現代版「Tanomoshi-ko」の問題点
(1)法制上いろいろの問題がありそうです
○保険業法(たぶん保険とは言えないと思います。寄付型Crowdfunding?)
○所得税法、贈与税法、相続税法
○出資法
○消費生活協同組合法
○個人情報保護法
○その他いろいろ
(2)システム開発
現状のクラウドファンディングの寄付型をベースに開発すればちょこちょこっと出来そうな気がします。
純保険料100%が理想なのですが、そうするとまったくのボランティアとなり、開発費やその後の技術改善が進みませんから、保険料から少し分け前(1%ぐらい)をもらうことにします。
保険加入者の裾野は大変広く、このシステムに加入すると考えられる会員数は約2000万人(川島FPの夢)とすると、一人月額掛け金2,000円として試算した年間の営業利益は約48億円にもなります。
Tanomoshi-koはきっと宝の山になるだろうと私は確信しています。
さあ始めるのなら 今、でしょ!
(3)お役人との交渉
もしかしたら必要ないのかも
(4)個人情報の管理
個人名と住所などを秘匿しIDで管理すればなんとかなるのでは
例:YouTube
(5)詐欺やなりすまし
マイナンバーで管理することでかなり個人を特定しやすくなると思われます。
(6)そして最後の問題点、368兆円を債券や株式市場で運用している”ザ・セイホ”が消えて無くなるかも。30万人近い雇用も失われます。たぶん10年後には・・・
5 以上をまとめた「Tanomoshi-ko」の特徴
このシステムは保険の意義であるセーフティーネットの機能を明らかに持っています。
保険代理店や営業職員がいませんから完全に中抜きした純保険料99%のシステムが作れます。
個人個人からの寄付ですから時々の厚生政策や医療技術の進歩、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できそうです。要は会員のコンセンサスで寄付金額が決まります。
一般庶民のコンセンサスなのでお金持ちには冷たいかも知れません。
(この辺の差別はとてもセンシティブですからCommitteeで倫理問題などを議論されると不快なので、なるべく機械的に処理してくれると嬉しいですね。)
可哀想な人には寄付が多く集まると思われますから税制の機能である所得再配分効果が期待できそうです。
保険の即効性としては多少劣りますが、みんなに公平ですし原価率99%ですから若いときから加入しても損はないと思います。(社会奉仕の一環として考えることもできるのでは。)
単年度決算ですからインフレ、デフレには強いと思います。
ほぼ掛け捨てですが、自分の寄付金が不運な人の役に立っているという実感が持てると思います。(ただし寄付者と受給者の交流の場を設定すべきかどうかは慎重な検討が必要です。)
将来いくらもらえるのか不確定ですからご安心くださいとは言えませんが、とりあえず自助努力として拠出率と給付率100%を目指し、あとは合理的な内容で申請すれば妥当な給付金が受け取れると思いますが・・・
さてあなたはこの「Tanomoshi-ko」に入りたいと思いますか?
未来の保険はどうなるのだろう ?(その1)
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