2018年1月29日月曜日

e-Tax(イータックス、国税電子申告・納税システム)のすすめ(その2)


2 確定申告書の作成に至るまで

   ここまでで諦めてしまった方が2、3人はいるかも知れませんががんばりましょう。

   確定申告書の作成はe-Taxホームページ「申告書・決算書・収支内訳書等 作成開始」から入力します。

(1)電子証明書の登録・再登録

   電子証明書(マイナンバーカードなど)と個人情報等(住所・氏名、利用者識別番号、所轄税務署の選択)を入力し、登録します。

   カードリーダーをパソコンに接続し、マイナンバーカードをリーダーに乗せます。
   画面の指示によりマイナンバーカードのパスワードを入力します。

 以後は利用者識別番号がIDとなり、個人情報が自動的に読み出されるようになります。

(2)e-Taxの利用開始(申告書の作成)

   まずパソコンや電子証明書、ICカードリーダーが準備されていることを確認し、利用規約に同意します。

(3)利用者識別番号とパスワードの入力

   入力後、個人情報が検索され、利用者情報が表示されます。
   住所などが表示され、訂正、変更がなければ確認ボタンを押します。
   その他いくつかの関門がありますが、それなりにボタンを押せば画面が進みます。
   電子証明書の再登録にチェックを付けると(1)の作業に戻ります。

(4)やっと所得税の確定申告書作成コーナーにたどり着けます

   収入が給与・年金だけの方は「給与・年金の方」を押します。
   いろいろな収入(事業所得、不動産所得、配当所得など)のある方は「左記以外の所得のある方」を押します。(左記以外と言っても、給与+いろいろな収入の場合もこちらです。)

(5)確定申告書作成に必要な資料

   会社や、年金などの源泉徴収票
   保険会社からの控除証明書、支払調書
   医療費の領収書(家族全員の年間の医療費が10万円を超える方)
   事業所得のある方は必要経費に算入できるものの領収書など

3 確定申告書の作成

   はっきり言ってe-Taxは高校や大学を出た人でも使いこなせません。
 なぜなら税に関する知識がほぼ皆無だからです。

 だいたい「収入」と「所得」の違いや、所得の区分や所得控除、税額控除などの知識がなく、所得税、住民税の計算要領について学校教育でまったく教えてもらっていません。

参考
現状、学校教育とは受験のための教育であり、生活者のための教育という視点がまったく欠けています。(ですから日本FP協会では学校教育におけるフィナンシャルリテラシーの充実に努めています。)

参考
e-Taxを使って確定申告を行うと、初回に限り税金が5,000円安くなります。(税額控除)

 多分学校の先生方もご自身の所得税がどのように計算されているのか知っている人は5%未満ではないでしょうか。

 確定申告が常識の米国と比較し、日本はあまりにも税に関する教育をおろそかにしすぎています。

参考
私が思うに「由らしむべし、知らしむべからず」が国(財務省)の基本方針なのでしょう。

 で、それがどうした・・・って

  この状況を踏まえ、私が強く感じていることは、e-Taxは、税の知識をある程度持っている人向きに作られているということです。

税に関する知識とは、

  所得金額=収入金額(源泉徴収票の支払額)-必要経費

  課税所得=所得金額-各種控除額

  税額=課税所得×税率

  総合課税される所得区分:利子、配当、不動産、事業、給与、(譲渡)、一時、雑
(利子及び配当所得については源泉徴収されたものは確定申告不要)

  分離課税される所得区分:退職、譲渡、山林
(土地・建物・株式以外の譲渡所得は総合課税)

各種控除の中でも、扶養控除については、年齢により、生計を一にしているのかどうかにより、また同居しているのかどうかにより控除額が変わり、「うちの場合はどうなの」という様々な疑問が湧いてくる人はなかなか使いこなせないかも知れません。

また副業で小物を販売して50万円を稼いだ人が、必要経費で差し引ける物がなにかなど、考え始めると訳がわからなくなります。

参考
物知り顔の人曰く、必要経費なんて「言ったもん勝ち!」とのこと。しかしタックスアンサーには明確に区分されていますから、こちらを信じた方があなたのためにはなると思います。

まあ税についてはいろいろありますが、取りあえず始めてみてから様々のことについて調べ、考えてみれば良いのではないでしょうか。

そうして、税に関する知識が増えれば増えるほど、節税のアイデアが沸いてきて、いろいろな場合についてe-Taxはシミュレーションできますから、勉強の成果が還付金というご褒美につながります。

参考
e-Taxは、入力のどの段階でも***.dataとして保存できますから、いつでも作業途中でデータを保存し、時間があるときにそのデータを読み出し、作業を再開できます。(***.dataの保存先フォルダを忘れてしまわないように注意しましょう。)

私の見るところ、FP資格の3級、2級の知識でも最初からe-Taxを使いこなすことは無理なように感じます。

一方e-Taxの操作マニュアルは374ページもありますから、これを理解してから使おうとしても困難なことは自明です。

このマニュアルを全ページ理解しなければならないのは税理士さんだけで、所得税の確定申告書を作成送付するだけならたった170ページ(?)程度ですから、根性のある方はがんばって読んでみてください。

e-Taxを使っている途中で沸いてきた疑問はネット(タックスアンサーなど)で調べ、1つづつ問題をクリアして行くことで、あなたも税のプロフェッショナルになれるかも知れません。

そしてFPの資格取得に役に立つかも知れません。(その気があればの話ですが。)

このような状況にあるe-Taxなのですが、国税庁はこの普及に努力しており(そりゃそうだ、このシステムに何百億円もつぎ込んでいますからね。)、年々使い勝手がよくなりつつあります。

さて納税は国民の三大義務のうちの一つです。(義務教育で税について教えているのはこれだけです。)

したがって、生きている限り税はついて回りますから、一生これを知ること無く過ごすことは困難です。

それなら税の知識を身につけ、取られっぱなしの税金を少しでも取り戻せたら、小さな幸せを掴めるのではないでしょうか。

そこで結論として、
「e-Taxを利用して1円でも税金を取り戻そう!」


その1


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