2015年8月3日月曜日

寿命が延びることで保険会社はぼろ儲け!


日本人の平均寿命が延びています。
女性が86・83歳(世界1位)、男性80・50歳(3位タイ)
いずれも過去最高となりました。

大変めでたいお話なのですが、寿命の伸びは保険会社に巨額の利益をもたらしています。

アフラックの研究にも書きましたが、保険会社の3利源(費差益、利差益、死差益)のうちもっとも儲かっているのが「死差益」です。(アフラックの平成23年度の基礎利益約2028億円のうち危険差益が1859億円(92%)もあります。)

死差益とは、保険契約時点で見積もられた将来の死亡数よりも実際の死亡数が少なければ保険金の支払いが減り保険会社の儲けとなります。

参考
危険差益とは、死差益の他に医療保険などでは見積もられた入院や手術の件数よりも給付金の請求が少ない場合などが有り、それら全体を含めたものが危険差益となります。

保険金は一般に高額ですから、一人1,000万円とすると、死亡者が見積もりよりも10人少なければ、保険会社の利益(死差益)は1億円増えることになります。

バブル崩壊後、保険会社は長い間逆ざや(利差益の赤字)に苦しめられてきましたが、その苦境を救ったのが死差益なのです。

そこで平均寿命が延びることで、どのくらい保険会社が儲けているのか調べてみました。

データ元は厚労省の簡易生命表(平成19年、平成26、男性の場合)で比較しています。



この表の読み方として、最初0歳の時点で10万人がいたとして、それぞれ各年齢における死亡数を示しています。

最初の10万人は毎年死亡数だけ減少しますから、最後には0人となります。

この表をグラフ化したものを次に示しています。


最初に生まれた10万人もやがては最後の時がやってきます。
これはいつの時代も変わりがありませんが、表とグラフが示しているのは82歳までの死亡数は減少し、83歳以降でお亡くなりになる人が増えていることです。(死亡する年齢が上がっている。)

82歳までで見ると、死亡数は4,995人も減っています。

注意
ここではデータ期間が7年間となっていますが、一般に保険契約から死亡保険金がもらえるまでは数十年にもなりますから、契約当初見積もられた死亡数と実際の死亡数の差はこの数値よりも遙かに大きくなります。


この間に10万人が1000万円の定期保険を契約していたとすると、当初見積もられた死亡数よりも4,995人少なくなるため、保険会社は4,995人×1000万円=約500億円もの利益が得られます。

参考
終身保険については、平均寿命の延びは関係ありませんが、責任準備金の運用期間が延びるため、保険会社としては予定外の利差益が得られます。


ちなみに第一生命(株)の2015年3月期決算報告では、基礎利益 4,582億円のうち危険差益が3,548億円(基礎利益の77%)となっています。

濡れ手で粟の3,548億円、ソニーやバナソニックなどの製造メーカーから見ると信じられないような棚ぼた利益、世の中には何の努力もしないでばく大な利益を得ている会社があるのです。

平均寿命について、現在の医療技術の進歩を考えれば、10年後にはますます伸びているでしょうし、短くなる可能性は極めて低いと考えられます。

注意
エボラ出血熱などの致死性の高い感染症が大流行(pandemic)した場合には、もしかして死差益が赤字になるかも知れませんが。

しかしiPS細胞の応用技術の目覚ましい進歩を考えれば、2050年には平均寿命が100歳に伸びているかも知れませんし、もしかして人類は死ななくなる可能性だって十分に考えられます。

それならばこれまでの実績を踏まえ、平均寿命は定率で伸びるものとして保険料を計算してもよいと思うのですが、残念ながら保険会社はそのようには計算していませんし、しなくてよいように制度が作られているのです。

参考
保険料の算出は将来を予測し金利など様々な計算方法や定数が設定されていますが、平均寿命の延び率だけはあえて設定されていないようです。(保険数理の世界にはタブーがありそうです。)

これは消費者保護を名目に、保険会社の利益となるよう、将来がどのようになっても保険会社は潰れず、きちっと保険金が支払われるように法律などができているためなのです。(これって契約者の利益なのか保険会社の利益なのか・・・かなり疑問ですね。)

つまり現状の保険業法等がある限り、将来も「死差益」は保険会社にばく大な利益を与え続けるものと考えられます。(金融庁と保険会社の蜜月が続く限り・・・)

近年保険会社では、長年の懸案であった逆ざやが解消し順ざやとなったのですから、巨額の利益の源泉となっている危険差益をいつまでも金融庁は見逃していてよいのでしょうか。


危険差益の見直しがされないとすると、賢い消費者として死亡保険には入らないことがよい選択となります。

もしも加入せざるを得ない場合は1年更新の定期保険(自動継続のあるもの)がおすすめとなります。

そして定年後に定期保険に入ろうとするとバカ高くなりますから、その時には一切の保険と縁を切ることがよい選択となります。

定期保険のベストな選択支としてはこちらをご覧ください。

一方終身保険はおすすめかと言うと、この超低金利の世の中ですから私ならこちらを選びます。

2016/8/15
これからの保険の選び方