2015年7月27日月曜日

がん統計データ集



統計データは分かりにくいので、だれにでも理解できるようにグラフを作ってみました。

医療統計の専門家ではありませんので多少怪しいところがあるかも知れませんが、ご参考としてください。


<データソース>

がん情報サービス

○厚生労働省「人口動態調査

○総務省統計局「年齢5歳階級別人口


<用語の定義>

【がん】:悪性及び上皮内がんを含む

参考
平成23年(2011年)患者調査によると、1ヶ月間の退院患者数(134万人)の内、悪性新生物で入院していた患者数は13万5千人、良性新生物で入院していた患者数は1万6千人ですから、新生物全体の10.5%が良性新生物による入院となります。

注意
悪性新生物の入院期間は良性新生物に対して長期となるため、患者調査の悪性・良性の比率と診断する時点での悪性:良性の比率とは差があり、たぶん診断の時点ではこの割合よりも良性と診断される%が高いものと考えられます。

【推定罹患数】:統計値をもとにして、日本国内で新にがんと診断された人数を推計したものです。
2011年に日本国内で新にがんと診断された人数の推計値は851,537人です。

【罹患率】:人口10万人の町があるとして、その町で新にがんと診断された人数をa人とすると、罹患率=(a人÷10万人)×10万=a人



以上のデータを独自に集計した結果を以下に示します。


1 年齢別に1年間に何人ぐらいが がんと診断されているのか

日本で1年間にがんと診断される人は、合計すると推定で約85万人おられます。

年齢階級別では次のグラフのとおりです。


60歳-64歳の階級で見ると、この階級では罹患数(新にがんと診断された人数)は11万人おられます。

この階級の人口が967万人(2013年)ですから、罹患数約11万人は全体の約1.1%となります。

したがってこの年齢の方は、統計的に1年間で見ると100人に約一人が新にがんと診断されていることになります。

罹患率は人口10万人当たりの新にがんと診断された人数ですから、罹患率を10万人で割ると、がんと診断される確率となります。(前記の1.1%がこの確率です。)

参考
新にがんと診断される確率(発生確率)=罹患率÷10万人


2 各年齢で、がんと診断される確率はどのくらいか

このがんと診断される確率(発生確率)を年齢階級別に次のグラフに示しています。



前記の60歳-64歳の階級の発生確率が約1%に対して、75歳-79歳の年齢階級では発生確率が倍増し2%を超えています。

参考
このグラフの読み方は、例えば50歳の方(男性または女性)が、新にがん(悪性及び上皮内がんを含む)と診断される確率は0.45%となります。
(例えば50歳の方が200人いるとすると、そのうち約1人が新にがんと診断される可能性があることになります。ですから確率としては案外低いのです。)

でも世間一般に2人に一人はがんになると言われていますが、これはウソかと言うとそうではありません。

前記データより人が一生涯においてがんと診断される累積確率を次に計算してみます。


3 人の一生ではがんと診断される確率はどのくらいか

累積確率を計算した結果が次のグラフです。


このグラフより、例えば生まれてから59歳までにがんと診断される確率は0.09=9%となります。(59歳の方が100人いると9人が既にがんと診断されたことがある。)

そして85歳以上(つまり一生涯)では、この確率が0.5=50%(2人に一人)となります。

でもここには数字のマジックがあり、年齢階級の人口が1000万人の発生確率と、年齢階級の人口が100万人の発生確率を同じように掛けていますから、現実の感覚と少し違うかも知れません。

例えば、99歳までがんの発生確率を0として、100歳の人口が2人で、そのうち一人ががんとすると、一生涯の発生確率は0.5となります。

この場合の計算例
0歳~100歳について、がんにならない確率は、
1.0×1.0×1.0・・・×1.0×0.5=0.5
がんになる確率は、
1-0.5=0.5

たぶん年齢階級別の人口を加味すると、がんになる確率はもっと低いような気がします。

がん情報サービスのデータでは「がんで死亡する確率(累積死亡リスク)」は、

男性 26% (4人に1人)
女性 16% (6人に1人)

となっていますから、2人に1人はがんと診断されますが、実際がんで死ぬ人はもっと低い確率となります。

もっと安心材料があります。
同じデータから、

50歳の方が今後がんで死ぬ確率は、
10年後 2%
20年後 6%
30年後 15%

60歳の方は、
10年後 5%
20年後 14%

10年後に5%ぐらいですから、確率50%を信じていた人には朗報ではないでしょうか。


4 がんによる死亡者は毎年どのくらいいるのか

1年間の平均死亡者数は、約125万人。このうちがん(悪性新生物)で亡くなられる方が約36万人ですから、全体に占める割合は約29%、3人に1人はがんで亡くなられています。

年齢階級別に死亡数をグラフに示しています。

死亡数は左の目盛り、死亡数に占めるがん(悪性新生物)の割合(%)は右の目盛りとなっています。



このグラフより、60歳-64歳の年齢階級では死亡者の約50%(半数)ががんで亡くなられています。

70歳を過ぎると、死亡者に占めるがんの割合が低下しているため、がん以外の肺炎などによる死亡者数の方が増えています。

80歳を過ぎると70%以上はがん以外を原因として亡くなられています。