2013年9月2日月曜日

アフラックの研究(その1)

アフラックについては、昨年の週刊ダイヤモンド特集記事『アフラックの“欺瞞”にメス 金融庁が前代未聞の長期検査』の中で「保険金支払い体制のずさんさ、過度な営業姿勢、不透明な保険料の運用」が指摘されています。

がん保険では寡占的な地位を保持し、がん保険及び医療保険を含めた個人保険でもアフラックは業界1位の保有契約件数を誇っていますが、2005年の不払い事案発覚以降、他生保とは一線を画した「独自路線(つまり収益至上主義)」を強力に推し進めていることを金融庁に見咎められたようです。

2011年に「生きるためのがん保険Days」が発売されましたが、当ブログでも分析したようにその保障内容は「改悪」と云っていいものでした。

収益至上主義の経営姿勢が色濃く出た商品と私は考えています。

8月19日に医療保険「新EVER」がリニューアルされましたが、上っ面を撫でるような商品の評価よりもこの際本質的な部分をしっかりと見極めたいと私は考えアメリカンファミリー生命保険会社を研究してみることにしました。

でもこのブログの読者としては「ちゃんと応える医療保険EVER」はどーなの?と思っておられることは十分承知していますので、いずれこの新商品についてちゃんと応えたいと思っています。(この研究の投稿は(その3)ぐらいまで続く予定ですから、EVERの分析はその後となりそうなのでご理解の程よろしくお願いします。)


アフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」の評価はこちらです。


さてアフラックのCMに「ブラックスワン」が登場しています。

「ブラックスワン」はアフラックダックの強力なライバルで、前向きに取り組もうとしている人を見ると、挑発的な発言をせずにはいられないひねくれ者なのだそうです。

アフラック社内や代理店(アソシエイツ)の人たちにとってはこの「ブラックスワン」ってあの人のことじゃないのと思っているのかも知れません。

あの人=チャールズ・レイク氏(日本における代表者 会長)について政治的な手腕においては刮目すべき実績を持たれていますが、はたして保険会社の会長として適任なのかどうなのか・・・

いずれにしろアフラックが日本のがん保険分野でシェア85%(1999年当時)という圧倒的地位になれたのはレイク氏のおかげであり、その政治力は今回の日本郵政グループとのがん保険の販売提携にも強く表れています。

参考
チャールズ・D・レイク二世の経歴
1962年生まれ
1985年 ハワイ大学マノア校からアジア研究と政治学の学士号を取得
1990年 ジョージ·ワシントン大学ロースクールから法学博士の学位を取得
1990年  米国・通商代表部(USTR)の特別顧問
1992年 USTR日本部長
日米包括協議の米側代表として日本に圧力をかけ日本における米国保険会社の優先的な地位の確保に貢献。(1996年保険業法改正により米国保険会社のみが医療保険(第3分野の商品)を扱えることとなった。)
1999年 アフラック日本に入社(いわゆる天下り)
2003年 アフラック日本社長
2008年 同社会長
金融庁も迂闊には手を出せないチャールズ・レイク氏の今の肩書き
*Chairman of the U.S.-Japan Business Council   日米経済協議会会長
*A board member of the Coalition of Service Industries
 CSI会役員(貿易摩擦における米国側圧力団体であるサービス業界の役員)
*Chairman of the American Council of Life Insurers’ International Committee
 生命保険会社国際委員会のアメリカ評議会会長
*President emeritus of the American Chamber of Commerce in Japan (ACCJ).
 在日米国商工会議所の名誉会長

蛇足
ちなみにブラック・スワンとは、金融用語で事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のことをいいます。(1697年にオーストラリアで白くない白鳥(黒鳥コクチョウ)が発見されるとヨーロッパ諸国に大きな衝撃となって伝わった故事によります。)


「ブラックスワン」のお話はこのくらいにしてアフラックの経営の実態を見てみましょう。

Aflacグループは、持ち株会社がAflac Incであり、ジョージア州コロンバス市にあるAflac米国本社の下に「アメリカンファミリー生命保険会社」があり、Aflac Japanは「日本支社」となります。(Aflac Incの100%子会社)

Aflac Incの会長、社長は創業家のダニエルP.エイモスとポールS.エイモスII世です。
同族会社ですからレイク氏は現在の地位からAflac Incの会長に出世することはほぼ「ない」と考えられます。(とすると現在51歳のレイク氏はAflac Japanでの実績を踏み台にどこかの会社のCEOにヘッドハントされたがっているのかも・・・)

参考
時事通信 2014/1/25 09:55
アフラック・インターナショナル社長にレイク氏



Aflac Incの株式はニューヨーク(ティッカーAFL)と東京(東証1部外国会社8686)に上場され公開されています。

アフラック日本の業績については次回分析しますが、直近10年の業績を概観的に要約すると看板商品であり保有契約件数の65%を占める「がん保険」の契約件数が頭打ちとなり、この「がん保険」のてこ入れと共に経営の軸足を医療保険や終身保険に移しつつあるようです。


アフラックの研究(その2

アフラックの研究(その3

アフラックの研究(その4