「メディカルkit(キット)」の評価については「人気の医療保険を比べて見ました」をご覧ください。
「メディカルKit」を分析した結果は、コストパフォーマンスが344と低くく、他の人気の医療保険と比較し劣っています。
この理由は保険適用手術について一律に10万円を給付(外来手術は5万円)している(バラマキをしている)ため、三大疾病などの高額な医療費となる場合に給付金が不足してしまうことが原因です。
「メディカルKit R」は「メディカルKit」に健康還付特則《Return》を付け加えたものです。
特則とは「特約」とはちがい、主契約の中に入れられているので、オプションの扱いではありません。
参考
「メディカルKit」には健康給付「特約」があり、この特約を付加すると5年間給付金の請求がなければ健康給付金がもらえます。
「メディカルKit R」の健康還付特則《Return》とは、70歳時点で生存している場合、次の式により計算された健康還付金が支払われます。
【健康還付金】=【累計保険料】 - 【それまでに受け取った給付金】
つまり70歳時点で支払った保険料全額が給付金や還付金として払い戻されることになります。(この時点の返戻率は100%となります。)
結構お得に感じる方が多いのではないでしょうか。
類似の保険としてアイエヌジー生命保険の「Smart Vision(スマートビジョン)」があります。
スマートビジョンは一時払いの医療保険で、10年経過すると解約返戻金として一時払いした保険料全額が払い戻しされます。(銀行などで結構売れており評判はよいようです。)
この場合、解約するまでの10年間に給付金を貰っているとその分だけ「お得」になります。
つまりこの間の医療保険がタダになります。
「メディカルKit R」は給付金分が天引きされますから、スマートビジョンの方が元本保証の上に給付金もタダでもらえるので太っ腹ですね。
さて「メディカルKit R」についてその仕組みを分析してみましょう。
比較の対象として、ライフネット生命の「じぶんへの保険」と「メディカルKit」を取り上げました。
保険料と保障内容はこの表のとおりです。
前提は入院日額1万円、50歳男性の場合です。
(表はクリックすると拡大します。)
「じぶんへの保険」は入院給付金1万円(60日型)、手術給付金10万円として、月額保険料は6,887円となります。
50歳男性の平均余命を31年とすると、累計保険料は約256万円となります。
ライフネット生命ではこの保険の純保険料は80%と公表しています。
256万円×0.8=205万円
「じぶんへの保険」では31年間で、契約者一人当たり給付金として205万円を支払っていると推定されます。(会社設立後間がないので、保険設計上の見積り段階での試算値です。)
「メディカルKit R」も「じぶんへの保険」と保障内容はほぼ同じでですから、同額の給付金が支払われるものと推定されます。
注意
「じぶんへの保険」と「メディカルKit R」の給付金の違いは、「じぶんへの保険」では外来手術の場合に給付金が出ないことです。
厚生労働省の統計データ「人口一人当たりの国民医療費(平成21年度)」より、50歳からの一人当たりの国民医療費の伸び率を約8%と推定し、給付金合計額が205万円となるよう、年齢別に「給付金累計額」を計算するとグラフの青い線となります。
各保険について、毎年保険料収入があり、また給付金を支払い、残った積立金は予定利率で運用するとしてシミュレーションしたものがグラフに示しています。
予定利率は1.5%としています。
(グラフはクリックすると拡大します。)
グラフは横軸に50歳で契約したときの経過年齢を、縦軸は各保険の積立額となっています。
「メディカルKit R」では70歳までに給付金として約90万円の支払があり、「健康還付金」として184万円が払い戻されたとしてグラフに表示しています。(184万円の還付により70歳時点で積立金が急減しています。)
契約者としては、この20年間に約274万円を支払い、274万円全額を返してもらいますから、還元率は100%となります。
一方保険会社側も積立金の運用により約57万円の利益をあげていることが分かります。
注意
保険会社では保険料の残りを全額積み立てることはなく、経費を毎年差し引きながら積み立てますから、本当の積立額はこの試算よりもかなり少ないと考えられます。
「メディカルKit R」の儲けは57万円ですが、70歳の時点をよく見ると、「メディカルKit」の儲けは約88万円ありますから、どちらかと言うと保険会社側として「健康還付金」は出血サービス的なものといえます。
しかし「メディカルKit R」が儲かるのはここからなのです。
なぜなら70歳以降も「メディカルKit R」の保険料は同じだからです。
つまり「メディカルKit R」は、70歳以降も「メディカルKit 」の1.8倍も高い保険料をもらいながら給付金は「メディカルKit 」と同じでよいので、保険会社の利益は急激に伸びます。(グラフの赤い線のところ。)
81歳時点で比較すると、「メディカルKit」の利益が73万円に対して、「メディカルKit R」の利益は111万円にもなっています。
今後医療技術の発展と共に平均余命が伸びれば伸びるほど儲かる商品なのです。
さてここで、「メディカルKit R」に対抗して 「メディカルKit」+貯蓄 を考えて見ます。
通称「川島FP Kit」と命名します。
「川島FP Kit」は、入院手術の保障内容が「メディカルKit R」とまったく同じで、保険会社がする積立を自分自身で行うことだけが違います。
「川島FP Kit」の支払月額は、
「メディカルKit」の保険料 6,040円(先進医療なし)
貯蓄額 5,360円
合計 11,400円
「川島FP Kit」について81歳時点で返戻率を計算すると、
保険料及び積立合計額 約424万円
保険からの給付金合計額 約205万円
貯蓄額 約226万円(税6.6万円抜き、利率1%)
返戻率 約102%(税抜き)
参考
30年債の利回り1.86%で積み立てた場合は税抜きで貯蓄額が262万円となり、返戻率は
110%になります。
同様に81歳時点で「メディカルKit R」の返戻率を計算すると、
支払合計額 約424万円
給付金合計額 約205万円
健康還付金 約201万円(70歳で184万円を受取り、利率1%で運用、税4.3万円抜き)
返戻率 約96%
この試算結果を見てあなたが魅力を感じるのは「メディカルKit R」でしょうか、それとも「川島FP Kit」でしょうか?
ちなみに「川島FP Kit」はどこにも売っていませんから、ご自身で組み立ててください。
なを「メディカルKit」をコストパフォーマンスのよい他の医療保険と入れ替えれば、返戻率はもっとよくなります。
「メディカルKit R」に20歳で加入したら・・・お得なの?
保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。