2012年3月26日月曜日

医療保険を選ぶ基準を考えて見ました(その3)


(表はクリックすると拡大します。)

一生のうち支払う医療費の合計額(国民医療費)はこちらの投稿に書きましたのでご参照ください。

90歳まで生きるとして計算すると、一生の合計医療費は2,224万円にもなります。
この内、実際お財布から支払う自己負担分の合計金額は382万円となります。

注意
保険屋さんは、国民医療費として2,224万円をさかんにアピールしています。この金額はウソではありませんが、平均寿命は90歳ではありませんし、保険の3割負担及び高額療養費を意図的に無視し、いかに医療費が高額となるのかをお客の耳に残るよう説明しています。
でも以下に説明するように、一生涯の医療費負担は約166万円ぐらいにしかなりません。
保険屋さんの説明には気を付けましょう。

50歳男性を基準として考えると、平成21年簡易生命表より平均余命は31.5年ですから、0歳から81歳までの自己負担分の合計金額は166万円となります。

81歳と90歳では9年の差しかありませんが累計の医療費はこの間に2倍以上になっています。

では、国民医療費を基本に医療保険に支払う合計の保険料(累計保険料)について考えて見ましょう。

基準は50歳男性です。

まず、医療保険に加入せず、貯蓄から医療費を支払った場合、50歳から81歳までの合計の医療費は124万円となります。

多くの人にとってこの場合(貯蓄からの支払)が最もお得になります。
なぜなら保険会社に支払う手数料分がなく、支払うのは100%が医療費だけとなるからです。

ですから医療費として使える貯蓄が200万円ぐらいあるなら、医療保険に加入する必要はありません。

上のグラフの青線(いちばん下側の線)で示したのがこの場合の累計医療費を示しています。(このグラフでは線が下側にあるほどお得になります。)

ちなみに貯蓄が200万円あれば、
胃がんなら4回、乳がんなら6回、心筋梗塞なら4回、脳梗塞なら3回入院してもまだ余裕がある金額です。


70歳以上の方は医療費の自己負担額が1割(10%)なので、青線はこれを示しています。
2割負担に引き上げられた場合は、薄紫の線になります。
縦棒は、50歳時点の平均余命である81歳(男性)、88歳(女性)を示しています。
縦棒(男性)と青線の交差しているところが、左の目盛りから累計医療費124万円と読み取れます。
2割負担となった場合(薄紫の線)と、81歳の縦棒(男性)との交点から累計医療費は165万円となります。


では医療保険に加入した場合の累計保険料の推移を見てみましょう。

じぶんへの保険 入院給付金 ¥5,000(60日、手術付)[オレンジ色の線]
じぶんへの保険 入院給付金¥10,000(60日、手術付)[緑色の線]
新EVER            入院給付金   ¥5,000(60日、三大、長期、先進付)[鎖線]

81歳時点でのそれぞれの商品の累計保険料は、

じぶんへの保険 入院給付金  ¥5,000 《160万円》
じぶんへの保険 入院給付金 ¥10,000  《264万円》
新EVER        入院給付金      ¥5,000  《187万円》

前回の投稿の給付見込額と合わせて累計保険料の基準を示すと、

【家計に優しい】
医療費の自己負担分だけが給付されるなら累計保険料は《160万円》

【標準的】
医療費+差額ベッド等の自己負担額がほぼ0円なら累計保険料は《190万円》

【ちょっぴり余裕】
医療費+差額ベッド等+多少の余裕なら累計保険料は《260万円》


以上より、50歳男性の場合、終身医療保険に加入する目安として、累計保険料がグラフのオレンジ色で網掛けした範囲内であればおすすめできる商品であると考えます。

累計保険料の計算のしかた(終身払の場合)
月額保険料×12×余命=累計保険料

男性の余命=81歳-現在の年齢
女性の余命=88歳-現在の年齢

40歳男性の場合は、支払期間が延び、入院リスクも少ないため、この範囲内の金額から10%割り引いた金額で考えてよいでしょう。

50歳女性についても、グラフで示した範囲から10%割り引いた金額が目安となります。

以上ご参考としてください。


医療保険を選ぶ基準を考えて見ました(その1

医療保険を選ぶ基準を考えて見ました(その2

医療保険を選ぶ基準を考えて見ました(その4


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