2010年6月18日金曜日

東京海上日動あんしん生命の個人年金保険はお勧めか?


個人年金保険で人気のある商品です。

東京海上日動あんしん生命の資料によると、

30歳から60歳まで、毎月1万円を積立ると、
60歳から70歳まで、毎年42.9万円+増額年金が10年間もらえます。

保険料の積立累計額は、1万円×12月×30年=360万円
確定の支払額が4,293,700円、払戻率が119.2%になります。

私が作成したソフトで計算しますと、
この定期積立の金利は1.18%(固定)です。

ちなみに、429万円の年金原資が年金支払い間も金利1%で運用された場合は、年金額が45.3万円に増加するはず(前記ソフトでの計算)ですが、パンフによるとこの期間の運用金利は0%だと考えられます。
(払込満了時点で満額払戻してもらい、別途運用したほうがお得だと思います。)

その他として、
保険料払込免除(所定の高度障害状態となったとき。)
死亡保障なし(既払込保険料相当額の払戻)
個人年金保険料税制適格特約(所得税の生命保険料控除については、23年末までの契約は5万円、以降の契約は4万円が控除限度額となります。)
があります。

銀行の定期積金金利が5年物で0.1%から0.3%ですし、個人向け国債の5年固定金利が0.42%ですから、積立で固定金利が1.18%は魅力があります。

しかし、30年間この金利で固定してしまうことには疑問があります。
なぜなら低金利のときには、将来の金利上昇に備えて、変動金利商品を選択し、高金利の経済状況なら長期固定金利商品を選ぶことが預貯金選択の基本だからです。

過去20年近くも低金利が続いていますが、これから30年間も超低金利が続くとはとても考えられません。

その理由の第一が日本国債の異常な残高です。
国内の特殊事情により長期金利が極めて低く押さえ込まれていますが、日本国債(格付けAA、2年以内にシングルAの可能性も有り)よりも格付けが上の米国国債(最上級AAA)でさえ金利は3%台です。

日本国債はいずれは消化が困難(国内で買い手がいなくなる)となり、金利は5%かそれ以上に急上昇する可能性があります。

金利は景気がよくなると上がる場合(よい金利上昇)もありますが、信用不安による金利上昇(わるい金利上昇、ギリシャ国債の例)があり、日本国債はこのわるい金利上昇が発生する可能性が高いと市場関係者から見られています。

長期固定金利だから安心と考えられるかも知れませんが、そこにはインフレリスクが潜んでいます。

例えば10年後に金利が5%となり、20年間そのままとしたら、60歳時点の物価は20年間で2.65倍になりますが、この個人年金保険はこの間1.12倍にしかなりません。

したがって、満期になっても、429万円の価値は目減りし、実質的には181万円の価値(物価との相対価値)に目減りしてしまいます。(甚だしい元本割れ状態です。)

ですから、この個人年金保険を契約することで30年間固定金利1.18%にお金を預けることにはリスクがあることを理解しておく必要があります。

若い人たちは、長期的に国の年金制度に大きな不安を持っていることと思います。
そのような人へのFPとしてのアドバイスです。

確定拠出年金(企業型、個人型)が利用可能な人は、加入をお勧めします。
企業からの拠出+非課税制度により個人年金が効率的に準備できます。
投資先については、定期預金30%、債券型投資信託30%、株式型投資信託(インデックス)40%(投資信託については外貨建のものをそれぞれの5割程度含めてください。)のポートフォリオを基準に選択してください。

参考
老後資金の貯め方と運用法


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