生命保険料控除は、「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2つがあり、それぞれ所得税が5万円、住民税が3万5千円まで控除できます。
課税の計算は一般に、
収入(会社の支払額)-給与所得控除(または必要経費)=所得金額
所得金額-「社会保険料などの所得控除」=課税所得
課税所得×税率=税額
ここで、生命保険料控除は「社会保険料などの所得控除」に入っています。
仮に、所得税率10%、住民税10%とした場合、
生命保険料控除が5万円なら、所得税は5千円がお得になります。
住民税も3万5千円控除できますから、3,500円がお得になります。
この税率なら、最高で8,500円税金が安くなります。
所得税の税率が20%の人なら、トータルで13,500円税金が安くなります。
生命保険料控除額は、その年の1月から12月の1年間に支払った保険料から計算されます。
計算式はつぎのとおりです。
所得税の生命保険料控除額
・年間の支払保険料額が2万5千円以下は、全額控除できる。
・年間の支払保険料額が2万5千円超~5万円以下は、
控除額=支払保険料額×(1/2)+12,500円
・年間の支払保険料額が5万円超~10万円以下は、
控除額=支払保険料額×(1/4)+25,000円
・年間の支払保険料額が10万円超の場合は、
控除額は、一律5万円
住民税の生命保険料控除額
・年間の支払保険料額が1万5千円以下は、全額控除できる。
・年間の支払保険料額が1万5千円超~4万円以下は、
控除額=支払保険料額×(1/2)+7,500円
・年間の支払保険料額が4万円超~7万円以下は、
控除額=支払保険料額×(1/4)+17,500円
・年間の支払保険料額が7万円超の場合は、
控除額は、一律35,000円
□対象となる生命保険料
保険金などの「受取人」のすべてを「自己」か又は「自己の配偶者」、「その他の親族」とするもので、生命保険会社、外国生命保険会社等、損害保険会社又は外国損害保険会社等と締結した「身体の傷害又は疾病により保険金が支払われる一定の保険契約」の保険料や掛金が対象となります。
(どの保険が対象となるかについて、あまり考える必要はありません。保険会社や共済から「生命保険料控除証明書」が送られて来るものは、すべて控除の対象となります。)
確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約も対象となります。
注1:財形保険、保険期間が5年未満の貯蓄保険、団体信用生命保険などは対象となりません。
注2:第3分野の医療保険(医療保険、ガン保険、介護保険、障害保険)は原則として生命保険料控除の対象となりますが、傷害保険などのように「身体の傷害に基因(入院の有無を問わないもの)」して保険金が支払われる損害保険などは、損害保険料控除の対象となります。
注3:「契約者」が誰であるかは要件とされていませんから、受取人の要件が充たされている限り、契約者がだれであろうと「世帯の中で保険料を支払った人」が生命保険料控除の対象になります。
受取人の要件の「その他の親族」とは6親等以内の血族と3親等以内の姻族ですから、いとこの孫、祖父母の兄弟の孫(はとこ)や妻の甥姪まで入ります。
注4:「離婚した妻」を受取人としている生命保険は、受取人が配偶者に該当しませんから生命保険料控除はできません。
(年の途中で離婚した場合は、配偶者であった期間分の保険料は控除できます。)
注5:中途解約し「解約返戻金」などがある場合、「剰余金の分配」や「割戻金の割戻し」については、その年の保険料から差し引いた額が生命保険料控除の対象となります。ただし「剰余金の分配」や「割戻金の割戻し」が解約返戻金の支払日またはそれ以後に支払われた場合は、一時所得となります。
「解約返戻金」については一時所得として課税されます。
□対象となる個人年金保険料
つぎの投稿をご覧ください。
個人年金保険の保険料と年金にかかる税金(その1)
□生命保険料控除の手続き
・サラリーマンの方で、給与天引きで保険料を支払っている場合は、年末調整時に会社に「給与所得者の保険料控除等申告書」を提出します。
口座引落等の場合は、生命保険会社から送付された「生命保険料控除証明書」を前記申告書に添付してください。
・自営業者の方は、翌年の確定申告において、「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付します。(e-taxにより電子申告する場合は、添付を省略できます。)
・生命保険料控除を忘れていた場合は、当該年から5年間は還付請求できます。
(平成20年分については平成25年12月末まで)
その際は「生命保険料控除証明書」が必要ですので、紛失していたら、保険会社に連絡し、再発行してもらいましょう。
注:平成24年分からは「介護医療保険料控除」が新設され、生命保険料控除の区分がこれまでの生命保険、年金保険に介護医療保険が加わり、3種類に増えます。また控除限度額は、それぞれ所得税最高4万円、住民税最高2.8万円に引き下げられます。
続く
保険にかかわる税金のおはなし(その3)