2019年5月10日金曜日

がんの最新統計「がんは怖くない!」


参考資料
がん情報サービス がん統計「年次推移」
1958-2017年全国がん死亡数・率
全がん協 部位別臨床病期別5年生存率


がんは医療技術の進歩により年々「治る病気」になってきています。

医師も、患者や家族に「がん」であることを伝えることがあたりまえになっています。

しかし患者側が「がん」に対する正しい理解がないと、徒に混乱し、恐怖心を持ってしまうかも知れません。

そこで現状の「がん」に関する最新の情報をお伝えし、不安に駆られて「がん保険」や「医療保険」にすがりつくことのないよう、そして保険屋さんを撃退できるような知恵を皆さんに持ってもらいたいと思いこの投稿を書いています。


まず最初にがんによる死亡者数はどうなっているのかのデータをご紹介します。

がん情報サービスによると、
「がんの死亡数と罹患数は、人口の高齢化を主な要因として、ともに増加し続けている。」と書いています。

がん死亡数(男女別)(がん情報サービスより)  図1

傾向
・男女とも、がんの死亡数は増加し続けている。
・2015年のがん死亡数は、1985年の約2倍。
・がん死亡数の増加の主な原因は人口の高齢化。

このグラフを一見すると、がんによる死亡数が激増していますが、これは統計処理していない生データであり、日本の人口が増えれば、当然がんによる死亡者は増えますし、高齢者人口が激増すると、がんによる死亡者数も激増します。

しかし、がんによる死亡者が増加したのか減少したのかは、同じ年齢、同じ人口を基準として比較する必要があります。

そこで60-64歳の年齢階級について、10万人当たりのがんによる死亡者数(死亡率)としてこれを補正すると、次のグラフとなります。(年齢調整死亡率)  図2
            川島FP作成(1958-2017年全国がん死亡数・率より)

注意
死亡率とは、全国年齢階級別死亡率(対人口10万人)を使用しており、同じ年齢、同じ人口として、がんにより死亡した人数を死亡率としています。

参考
1990年から死亡率が顕著に低下していますが、この頃米国の調査において、抗がん剤には効果がないことが明らかとなったため、この使用を減らした効果によるものと一説に言われています。

このグラフより60-64歳の年齢階級では、1960年の死亡率478.6人が、2017年では274.5人に減少しており、約43%の低下となっています。

参考
このペースで死亡率が低下すると、2020年の死亡率は1960年の50%以下(激減)となります。

したがって、人口10万人当たりのがんによる死亡者数(死亡率)は、医療技術の進歩などにより、年々減っているのが現実なのです。(保険屋さんが言っている「がんによる死亡者が増えている」のは生データのことで、正しく統計処理すれば「激減している」のです。)

これを全年齢について推移状況を示しているのが次のグラフです。
(がん情報サービスより)

全がん
年齢調整がん死亡率の推移(全年齢)  図3

このグラフより、女性は死亡率が顕著に低下しており、1960年からは35%も減っています。

つまりがんで死ぬ人は確実に減ってきています。

この死亡率を全ての年齢階級で合計し、一生涯の死亡率を計算したのが次のグラフになります。   図4

がんによる累積死亡率は、1995年が7000人、2017年が5776人となり、22年間で約17%減少しています。
                川島FP作成(1958-2017年全国がん死亡数・率より)


以上は死亡率についてまとめたものですが、がんと宣告された方の生存率はどのように変化したのかを以下に示します。

部位別5年生存率 図5
がん情報サービスのデータより

「がんの生存率は多くの部位で上昇傾向にある。」

参考
生存率とは、5年相対生存率のことで、100%ならがんと診断されても5年後に死亡する人はいないことになります。

男性の前立腺がんでは、1993-1996年の生存率は65%でしたが、今では、がんと診断後5年経過時点の生存率は98%にも向上しています。

女性では、乳がんの5年生存率が85%から92%に向上しています。(今では100人が乳がんと診断されても、5年後には92人が生存していることになります。)

このグラフが示していることは、多くのがんの5年生存率が右肩上がりとなっており、年々改善されてきています。


このようなデータから、令和という新たな時代では「がん」を克服する日が近いのかも知れません。



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