2012年12月3日月曜日

基礎から分かる保険のしくみ


人が生きて行くときには様々な出来事が起こります。

結婚や出産などのおめでたいことや、死亡やけが・病気などの不幸な出来事など々。

そうした慶弔に際し昔は家族親類が相互扶助し、また葬祭などでは村が共同体(互助組織)として当該家族を支援する態勢がありました。

しかし社会の近代化と共に農業のような家族労働から工場に勤める労働者が増え、一人の収入で家族の生活を支えるようになり、また家族構成も大家族から核家族化が進んだ結果従来の家族間の相互扶助や地域共同体による協力が得られなくなりました。

このような状況から家計を支える人が死亡した場合、残された遺族に深刻な影響が及びます。

そこで考え出されたのが「保険」というしくみなのです。


保険のしくみを物語風に見てみましょう。

ここに10人のパン屋さんや工場労働者たちがいます。

それぞれが万一のことを考えお互いに協力することにしました。

各人が月に1万円ずつ出資し積立をします。
この積立金は誰か不幸にあった人に全額を支払う約束です。(頼母子講と同じ仕組み)

積立から10年後に工場労働者の1人が事故により死亡しました。

約束どおりそれまでの積立金全額(1200万円)が死亡した人の遺族に支払われました。

遺族にとっては突然訪れた不幸な状況にあって、この思わぬ資金の提供はなんと心強いことでしょう。

この資金を提供した9人にとって残された遺族の支援ができたことは嬉しいものの、自分のもらう分が無くなってしまったので、これまでの積立は払い損なのではないかと言う気持ちも少しありました。

ではこの9人にとってはまったくの払い損なのでしょうか?

いいえそうではありません。
ある時点を捉えれば保険には損得がありますが、人の一生を考えれば、この場合10人全員がやがては積立金をもらえる時が来るのです。

注意
加入者は常に10人であり、欠員は募集され、積立は永遠に継続されると考えます。


一方加入早々に亡くなられた方はたいへん大きな利益があり、100歳まで生きた方はより多くの積立をするので結果として不公平はあるものの、死亡する確率ともらえるお金を掛けた期待値は公平であり、この場合支払ったお金と同じ金額がもらえることになります。

注意
ここでは保険の基礎的理解のために加入者を10人としていますが、加入者が10万人とした場合、大数の法則により受取額は均一化されます。

参考
2007生保標準生命表(0歳~107歳)から毎年死亡する人は生存している人の1.27%おられます。
もし10万人の人(0歳~107歳)が1000万円の生命保険に加入していたとすると、1年間の保険金支払合計額は、
10万人×0.0127×1000万円=127億円
となります。
これを10万人で割ると、一人当たりの年間保険料は12.7万円(月額10,583円)になります。
この場合(大数の法則が成り立つとき)すべての人が確実に1000万円もらえることになります。



さてここで「保険屋」さんが登場します。

毎月のお金の集金や管理、どのような場合に積立金を支払うのかの診査、新たな加入者の募集など、保険のしくみを維持するにはとても煩雑な仕事があるので、10人の内の1人がこれを引受ることになりました。

仕事がたいへんなのでこの人は毎月の積立を免除されました。

したがって不幸があったときの支払額は以前の金額の90%に減ることになります。

まあまあこの程度であればたいへんな仕事を引き受けてもらっているので仕方がないと他の9人は納得しました。

しばらくすると、保険屋さんは新たな加入者の募集のために交通費やプレゼント代金などの出費がかさむので事務手数料が必要だということで月に1万円がほしいと言いました。

他の9人はしぶしぶ納得し、この結果支払われる積立金の割合は80%に減ってしまいました。

そうしてまたしばらくすると、保険屋さんはいろいろの理由を付けて事務手数料を値上げし、ついには6人分の積立額が保険屋さんの事務費となり、保険金としての支払額ははじめの金額の30%まで下がってしまいました。

これには参加者全員が怒ってしまい、心の正しい善良で正直な別の保険屋さんが運営する積立金グループに乗り換えてしまいました。

そこでは積立額の80%が保険金として支払われるので全員が安心して積立ができるようになりました。

めでたしめでたし。


さてあなたの保険はどのくらい保険金や給付金として返してくれるのか知っていますか。
保険会社の経費(付加保険料)がいくらぐらいか分かっていますか。

まさか保険金として返してくれる割合が30%ってことは・・・・・


参考
保険会社の原価率比較