(図はクリックすると拡大します。)
ここは込み入った説明になりますから読み飛ばして、その3の最終的な評価をご覧になられてもよいでしょう。
がん保険の評価はすこし難しいかも知れません。
その理由は、上皮内新生物となる確率と再発の確率を考えなければならないからです。
この2つデータを探しましたが、なかなか適切な内容の公表データがありませんので、かなりの誤差があるのは承知の上で一定の推測をする基礎的データとして次のものを使わせていただきました。
独立行政法人 国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計’11」
医療情報サービス Minds(マインズ)「大腸癌治癒切除後のStage別再発率と術後経過年数別累積再発出現率」
厚生労働省「平成20年患者調査」
1 悪性新生物(がん)または上皮内新生物になる確率
上の表をご覧ください。
「がんの統計’11」より50歳以上の罹患リスク(がんと診断される確率)は男女平均して43.1%となっています。(公表データは男女別なので算術平均した数値です。)
新生物と診断された症例のうち悪性新生物と上皮内新生物の比率については、適切な公表値がありませんので、「平成20年患者調査」推計入院患者数及び推計外来患者数より次のデータを使用しています。
新生物合計377.4(千人)
悪性新生物297.8(千人)
良性新生物及び他の新生物79.4(千人)
このデータより悪性新生物に対する良性新生物の比として26.7%(=79.4÷297.8×100%)としました。
したがって、一般の人が上皮内新生物になる確率は11.5%(=43.1%×26.7%÷100%)となります。(男女平均値です。)
2 がんが再発する確率
すべてのがんを平均して再発する確率はどうかという数値はありません。
がんに関する公表データはいずれにしろ専門家の手になるものなので、詳細を極めていて、大雑把な平均値は見つけられません。
したがって再発確率については、医療情報サービス Minds(マインズ)の「大腸癌治癒切除後のStage別再発率と術後経過年数別累積再発出現率」を使用させていただきました。
(再発確率はがんの種類や発見治療したStageの区分などさまざまな要因により変化していますが、大腸癌をすべてのがんの代表として試算をしています。)
MindsのHPより上図の折れ線グラフをまるごと引用させていただきました。
このグラフより読み取った数値から独自に算出した経過年ごとの再発する確率を表の下段に示しています。
Mindsのグラフの読み方。
このグラフはStage別に累積再発出現率をプロットしています。
累積再発出現率とは、経過年ごとの累積再発症例数を合計再発症例数で割った値です。
具体的には、StageⅠの場合、症例数1367例に対して合計再発症例数は51例となっています。この51例が出現率1.0(100%)の値となります。
再発症例数は当初0から逐年増加し6年目で1.0(累積数が51例)となります。
ちなみに、
StageⅡの症例数1912例に対して再発症例数は255例(出現率1.0のときの数値)
StageⅢの症例数1951例に対して再発症例数は600例(出現率1.0のときの数値)
となっています。
全Stage合計で再発症例数は906例となっています。
この場合、合計症例数5230例に対して再発率は17.3%(=906÷5230×100%)です。
(5年経過時点では16.7%です。)
以上のデータを前提として各保険商品からもらえる給付金について期待値を計算すると、支払った保険料に対するコストパフォーマンスが得られます。
ガン保険の選び方(その1)
ガン保険の選び方(その3)
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