2010年7月6日火曜日

最高裁が年金払いの生命保険への所得税課税について二重課税と認定

うれしいニュースです。
収入保障保険や生命保険を年金払いで受け取られている遺族の方々にとってはたいへん心強い最高裁の判決になりました。

これまでは、毎年生命保険から支払われる年金について所得税(雑所得)が課税されていましたが、今後は非課税となります。
最高裁が年金(月払い)形式で支払われる生命保険(収入保障保険など)について、これまで国が相続税と所得税(雑所得)を二重に課していることは違法と認定したからです。
(「収入保障保険の保険金受取方法と課税の関係」にも書きましたが、一般に、相続税を支払う方は多く有りません。したがって、被相続人の死亡後10ヶ月以内に確定申告することで、相続税が0円でも、「年金の受給権」については、手続きとして「相続税を課した」ものと見なされますから、以後年金としてもらっても所得税は課税されないと考えられます。ただし、相続後に年金原資に配当金などが付くと、この部分が年に20万円を越えると雑所得として課税されます。 )

したがって本年分の所得税からは、収入保障保険などからの給付は全額控除(配当金、増額年金には所得税が課税されます。)できますし、過去5年にさかのぼって支払った所得税、住民税(生命保険から給付される年金額にかかわる所得税、住民税)分が還付されます。
還付手続きや確定申告の要領は後日国税庁からホームページなどを通じてお知らせされるものと思います。

以下に所得税が非課税になる効果を具体的に概算してみます。
年金額が120万円(月10万円)、総合課税所得が300万円の場合、所得税率10%、住民税10%とすると、年間約24万円(必要経費は省略)も個人年金について税金を支払っていることになります。
年金受取期間が20年間とすると、合計480万円も税金が取られるはずのものが、今後は0円となります。

おまけに、年金の全額(配当及び増額年金を除く。)が所得控除できますから、課税所得が300万円-120万円=180万円と少なくなり、所得税が10%から5%に下がり、税金が18万円から9万円に下がります。(住民税は一律10%のままです。)

したがって、合計では24万円+9万円=33万円も年間でお得になります。

以上の試算には、配当及び増額年金などは考慮していません。
相続税の確定申告後において、年金原資は保険会社で運用され、毎年(毎月)給付される年金には配当金及び増額年金が上乗せされて支払われます。この上乗せ分については、相続税が課税されていませんから、給付された年において今後も所得税の課税対象になります。
ただし、雑所得は20万円までは非課税です。

二重課税ついては、収入保障保険ばかりでなく、保険金を年金で受け取る形式の保険がその他に多くありますし、税金の還付など多方面に影響があります。
特に、過去に支払われた所得税の還付をどうするのかが大きな問題となっています。
現在保険各社は、当局の方針を待っています。

個別の契約についての扱い方、手続き、関係書類等が逐次保険会社から契約者などに通知されるものと思われますのでHPなどもご確認ください。
しかし税金の還付が可能となったとしても、保険会社に証拠書類が保存されているかどうか分かりません。
現在年金をもらわれている方は、確定申告書などの証拠書類はできるだけ集めて、しっかり保存しておくことをお勧めします。