2010年6月6日日曜日

アカウント型保険のしくみと本質

アカウント型については、見直しの自由度などメリットを説明するブログが多くありますが、その本質や販売の実態にせまる内容が見あたらないので、ここに私見を述べさせていただきます。

まず、主契約の「アカウント」をどう理解したらよいか。
理解を容易にするため、従来の定期付終身保険の終身保険部分と比較したいと思います。

終身保険は、一生涯を保障しており、そのため保険会社では責任準備金として保険料が貯蓄され予定利率(固定金利)を目標に運用されています。

契約者の一生ですから、20歳で契約したら60年以上の期間について保障することになります。
契約者としては長期の保障が得られるため、「安心」できるのではないでしょうか。

アカウントは、一生涯の保障はまったくありません。
死亡保障としては積立金の1.1倍だけありますが、積立額自体が少ないので10万円もないでしょう。

その本来の機能は、保険に付けられた「貯金箱」です。
保険ではありません。日頃はこつこつ貯めて、欲しい物があるとここから支出するという機能です。

会社側から見ると、アカウントは保険契約に継続性を持たせることができます。
単なる10年定期の寄せ集め保険だと、更新時期にお客に逃げられてしまう可能性があります。
アカウントを接着剤にして10年定期を束ねておけば、止めるよりも「見直しして継続したほうがお得です。」と説明できます。

しかし「お得」はウソです。
アカウント部分を継続してもお客様に利益はありません。

まして特約保険料は、しっかりとその時点の年齢で計算され、値上がりします。
したがって他社商品と比較した場合の「継続」の優位性はなにもありません。

この点、終身保険であったら、継続の優位性はあります。すでに責任準備金が貯蓄されていますから、他社への乗換よりは継続したほうがお客様に利益があります。

ではなぜ、保険会社は終身保険からアカウント型に切り替えたのでしょう?
その理由は100%会社都合です。

アカウントのメリットとして、保障を途中で見直しできると言われていますが、中途増額や減額、特約の解約、自動振替貸付、契約者貸付などは従来からできました。
アカウントは保険料前払いぐらいのメリットでしかありません。

一方会社側のメリットは大きなものがあります。
主契約の保険期間は70歳、75歳、80歳満了ですから長期の契約になりますが、アカウントについては、この間の保障がありません(積立金の払い戻し程度)し、積立利率も利率変動型なので、保険会社としては責任準備金の長期運用リスクをまったく無くすことができます。

つまり逆ザヤの発生原因を根絶できるのです。
長期のリスク(終身保障が得られないこと。)はすべてお客様側に転嫁されています。

「見直しが簡単」「貸し付けが受けられる」と言いつつ実態は毎月175円ぐらいの貯金になんの効果が期待できるのでしょうか。

アカウントの本質は、お客様側の利益ではなく、保険会社として財務健全化のための責任準備金の長期運用リスクの低減にあるのです。

したがって、そのアカウントの本質を理解できないお客様は、不要な保障が束ねられた掛け捨て10年定期保険を買わされているのです。

仕組みとしてのアカウントの利点は理解しますが、保険会社の販売の実態は、保険料が割高となるためアカウントの利点を無くすよう設計し販売されています。

契約者は今一度、契約期間に応じてアカウントに貯まっているかどうかよく確認してみると良いでしょう。
仕組みは「貯まる」のですが実態は「貯まっていない」のではないでしょうか。

私はFPとしてアカウント型保険について、内容の理解が難しいこと、保障がいたずらに多様でムダが多く、終身保障がまったくないので、お薦めしません。


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