(図はクリックすると拡大します。)
かんぽ生命(簡保)には医療保険がありませんので、新ながいきくん(定額型)をとりあげます。
かんぽは「国営」なので割安で安心との評判がまだまだありますが、付加保険料の実体は民業を圧迫しないように国内生保なみの割高な保険となっています。
以下、その詳細について比較してみました。
この保険は医療保障が特約となっています。
主契約は、死亡保障の終身保険になります。
商品の内容はつぎのとおりです。
加入年齢=20~65歳
保険金額=100万円~1,000万円
保険期間=一生涯
主契約が、終身保険であり、特約として無配当疾病障害特約「その日から」が付けられます。
「その日から」には三大疾病及び先進医療の特約はありません。
(手術保険金は三大疾病などの場合、入院日額の40倍となっています。)
前提として50歳(男性)の場合
保険金300万円、無配当疾病傷害入院特約「その日から」を付けています。
保険料16,110円(75歳払済)
○主契約(保険料9,870円)
終身保険 300万円
倍額保障 300万円(1年6月後から事故死の場合、保険金は倍額)
注:
50歳から75歳まで毎月9,870円を積み立てると2,961,000円となりますから、保険金が300万円ということは、利回りはほぼ0%となっていますので貯蓄性は「ない」と言えます。
注:「倍額保障」は一般の保険では、「災害割増特約」と言われており、病気などによる通常の死亡以外に、不慮の事故により死亡(事故死)したの場合には割増(倍額)の保険金が支払われます。
簡易保険は、保険金額が1000万円までとされており、この上限を超え、大きな保証を付け魅力化するため、民間では特約としている「災害割増特約」を主契約に自動付帯させています。
「不慮の事故による死亡」とは、災害により事故の日から180日以内に死亡したり、高度障害になったりしたとき、また、法定・指定伝染病(約款で決められた感染症)で死亡したときが該当します。
○特約
災害特約 300万円(保険料960円)
入院保障(120日タイプ)(保険料5,280円)
入院日額 4,500円
手術 2.25~18万円
長期入院(120日以上) 9万円(一時金)
終身保障額と入院日額は連動しており、任意に設定ができません。
(上記の例では 300万円×1.5/1000=4,500円となっています。)
「新ながいきくん」の医療保障特約「その日から」について、メットライフアリコの「やさしくそなえる医療保険」及びアフラックの「新EVER」と比較してみました。
(上図のレーダーチャート参照)
レーダーチャートの見方
真ん中の薄紫色の六角形が主要なケガや病気のとき病院への支払や雑費などを合計した自己負担額(100%)を示しています。(自己負担額の詳細はこちらをご覧ください。)
つまり、それぞれの保険のグラフ(線)がこの六角形よりも外側(100%以上)なら、お財布から支払った金額(自己負担額)以上に給付金がもらえることになります。
「その日から」は6種類すべてについて保険金額が自己負担額を超えることはありません。
「新EVER」は、自己負担額をほぼカバーしています。
「やさしくそなえる医療保険」は、自己負担額をかなり上回っています。
したがって「新EVER」及び「やさしくそなえる医療保険」は安心できる保障内容ですが、「その日から」はチョット寂しい内容となっています。
この6種類の合計給付額を月額保険料で割ったコストパフォーマンスを計算すると、表のとおりとなりました。(数値が大きいほど良い保険です。)
注意:新EVERとやさしくそなえる医療保険は終身払いなので、累計保険料は、50歳(男性)の平均余命を31年として計算しています。(かんぽは75歳払済なので月額保険料に31/25を掛けてコストパフォーマンス値を補正しています。)
「その日から」は新EVERとやさしくそなえる医療保険に比較しかなり劣っています。
具体的には、同じ保険料なら、新EVERは「その日から」の給付額の1.3倍(=418÷320)もらえることになります。
その理由は、「その日から」は、累計保険料が安いのですが、保険金がそれ以上に低いので、このようにコストパフォーマンスが悪くなっているのです。
かんぽ生命の原価率は国内生保と同レベルであり、保険金などで契約者へ返すお金よりもかんぽ生命が取る手数料(付加保険料)が多くなっています。
以上より
かんぽ生命の「新ながいきくん(定額型)」は、終身保険の利回りが悪く、医療保障には三大疾病、先進医療の特約がなく、保険金額も自己負担額を下回り、割高な保険なので、私はおすすめしません。
参考
医療保険を選ぶ基準
かんぽ生命の「新フリープラン」はお得?
新ながいきくん(おたのしみ型)の評価
保険会社の原価率(お得度)の比較
保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。