保険の営業は、「終身型で60歳払い済みが最もお得です。」と言います。
その理由として、入院リスクは60歳から急上昇するので一生涯の保障が必要なこと、保険料が上がらないこと、60歳以降は保険料負担がなく保障だけが継続すること、一般的に定期型(更新型)に比べて保険料合計額が安くなること、などです。
(参考としてソニー損保の説明を見てください。)
この説明に対する私の考えは次のとおりです。
医療技術は日々進歩しています。
平均在院日数は、この20年間で1年当たり2日のペースで短くなっています。(今の平均在院日数は50日ぐらいなので、このペースならあと25年で、平均在院日数0日になるかも? 冗談です・・・)
また保険料もこの10年間を見るとほぼ半額以下になっています。(ネット通販の拡大が主因だと思いますが。)
ということで、今現在で計算すれば終身型の方がお得だし、一生涯安心(保険会社の決め台詞)なのですが、10年後に30日型の医療保険が、魅力的な特約(たとえば、IPS細胞による自己臓器の複製による移植医療とか、ロボット技術の発達によるサイボーグ化手術とか)がついて、価格が今の半額の保険が発売されたらどうでしょう。
これまでの医療保険の発展を考えれば、可能性がないとは言い切れません。(医療技術の進歩の他に、将来的には付加保険料の低下傾向(投稿「金融商品として保険を見たら」参照)も大きな影響を与えると思います。)
30歳で終身型に加入した場合は50年以上、50歳ですと30年以上の契約期間となります。
FPの常識としては、この期間内に当然インフレが来るものと考えるのが原則です。
終身保険は固定金利商品なので、現在の超低金利が一生続くものとして保険料が計算されていますから、割高な状態と言えます。
(将来インフレとなった場合、予定利率が5%ぐらいになる可能性もあり、そのときの保険料はたいへんお得な価格となります。)
インフレとなるかどうかは不確かですが、今確実に言えることは、終身型契約者は、たいへん長い契約期間中に次から次に発売される割安で魅力的な保険を横目に高い保険料を一生涯払い続けなければならないということです。
保険は健康でなければ入れません。新商品へ加入できない場合もあります。
しかし健康であるなら、魅力的な保険に切り替えて行くほうがお得かもしれません。
保険や家計全般の見直し相談についてはこちらをご覧ください。