参考
2015/6/22 「ちゃんと応える医療保険EVERの重大疾病特約について」
2017/3/2 「ちゃんと応える医療保険EVERの リニューアル」
契約年齢は50歳(男)、入院日額5000円としています。
主契約について、「もっと頼れる新EVER」は「新EVER」よりも保険料が11円安くなり、手術の対象範囲も88種類から約1000種類に拡大されました。
「ちゃんと応える医療保険EVER」は「もっと頼れる新EVER」よりもさらに80円安くなり、入院5日までは5日分が一律に給付され、放射線治療の対象範囲も拡大されています。
保障範囲が拡大し、「新EVER」より80円も安いのですから、「ちゃんと応える医療保険EVER」はとても魅力的です。
こんなに大盤振る舞いしてはアフラックは儲からないのではと心配になる程ですが、そこは保険会社、「通院保障」を契約者全員に付けてもらうことで儲けを出したいともくろんでいるようです。
「通院保障」を付けると579円も保険料を取られますから、主契約が80円安くなったことなども全て吹き飛んでしまうので気を付けましょう。
このブログの読者なら「通院はいりません!」と言って、とても安くなった主契約だけにしましょう。
表の下段には主要な特約の保険料を記しています。
特約保険料計を見ると「ちゃんと応える医療保険EVER」は「もっと頼れる新EVER」よりも70円安くなっています。
70円安いのですからお勧めかと言うと、特約の内容をよく検討してみる必要があります。
「ちゃんと応える医療保険EVER」の主契約及び特約の保障内容についてつぶさに見てみましょう。
1 通院の保障は必要?
(図はクリックすると拡大します。)
これはアフラックのホームページに当初載せられていた図です。(なぜだか今はありません。)
参考
アフラックが通院保障の必要性を説明した当初の文書は、
「医療技術の進歩などにともない、近年入院日数は短期化の傾向にあります。」
その後本質的な間違いに気づき訂正した文書が、
「医療技術の進歩や、医療制度の変化などにともない、入院日数は短くなる傾向にあります。」
私の分析では医療技術の進歩で通院が増えた割合は1~2%で、98%は医療制度の変化によるものです。
この図でアフラックが言いたいことは、入院前の通院が「増加」しているのだそうです。
統計はデータの取り方によってどのようにもできるし、微少なことを拡大して見せることもできますから、作られた資料を鵜呑みにするのは多少危険です。
この入院前後の通院の割合の図もウソではないのでしょうが、データの切り出し方や、誇張があり、ちょっとやりすぎたので引っ込めたのではないのかなと私は見ています。
この図から、とにかくアフラックとしては「通院保障」が売りた~~いと、とても強く思っているのは確かなようです。
デレビCMでも「通院」・・・「通院」っていってるでしょう!
アフラックのがん保険「Days」も手術給付をなくして、通院給付に切り替えています。
会社をあげて「通院」を売り込もうとしているのです。
その裏には「アフラックの研究」で分析したように、他社の追い上げがきつくなり、利益の伸びがなくなってきている状況を挽回したいという経営戦略が透けて見えます。
一方入院及び通院に関するデータとして次の資料があります。
(グラフはクリックすると拡大します。)
これは厚生労働省の「平成22年度我が国の保健統計」から抜粋したものです。
上の図から推計入院患者数は最近20年間はほぼ横ばい、下の図では「病院」の推計外来患者数は平成11年度から下がり続けています。
医療保険の給付金の支払い額は、大数の法則に従うので、このようなマクロ的なデータと同じ動きになるはずですから、「通院保障」が必要と言えるほど大きな流れはどこにも見当たりません。
アフラックのホームページの記述では「医療技術の進歩などにともない、近年入院日数は短期化の傾向にあります。一方、入院する前に通院する人の割合も年々増えており、入院前後に通院される方は全体の8割にものぼります。」
入院日数の短期化の原因は医療保険制度の改正(厚生労働省の政策)であって、一部には医療技術の進歩もありますが、「医療技術の進歩など」で入院日数が短期化し、「通院する人の割合も年々増え」たとの表現は問題がありそうです。
少なくとも厚労省のデータや分析から直裁に「医療技術の進歩により通院する人が増えた」との表現はどこにも見られません。
ですから、現状の医療保健選びにおいて入院から「通院」へという流れは「先走り」すぎと私は考えます。
この先走りは保険料が稼げる一方、給付金は少なくて済むので保険会社としてはうまみがありそうです。
そう考えると、保険会社のセールストーク「今は入院と通院をセットするのが主流」は無視するのが賢明だと思います。
もしアフラックとして「通院保障が必要」と言うのであれば、アフラックは第3分野の保有契約件数が2257万件もあるのですから、自社データから「通院がこんなにも増えています!」と開示してもらいたいものです。
いずれにしろ「通院保障」は満額の30日分をもらえたとしても9万円にしかなりませんから、家計のリスクとしては、十分貯蓄で対応できる範囲なので、わざわざ「保険」にたよる必要性はないと思います。
詳細レポート
通院保障はほんとうに必要なのだろうか?
2 期待値から見た「ちゃんと応える医療保険EVER」の特徴
つづく
その1