2012年10月15日月曜日
手術の医科点数と医療保険の手術給付金の関係について
(グラフはクリックすると拡大します。)
保険診療において診療や手術の内容は点数化(医科点数)されており、毎年度厚労省より「診療報酬改定」が行われています。
平成24年度診療報酬改定では、医療従事者の負担軽減や医療と介護の機能分化、在宅医療の充実などに重点配分され、点数表が見直しされています。
手術についても1つ1つの手術について点数化されていて、24年度については1750項目それぞれに医科点数が明記されています。
ちなみにこの1750項目のうち手術の最高点数(保険適用手術で最も高額)は、K605-4 心肺移植術 286,010点(約286万円)、最低点数はK404 抜歯手術(乳歯) 130点(1300円)となっています。
診療報酬と医科点数の関係は、医科点数1点が10円に換算されます。
患者負担額は、3割負担の場合、医科点数1点が3円に換算されます。
最高点数となった心肺移植術の場合、患者が負担する手術代は286,010点×3円=858,030円となります。
しかし健康保険には高額療養費制度がありますから、手術を含む入院費などの診療報酬全体で月の支払額が10万円を超えることはありません。(差額ベット代や食事代は別)
以上の関係を上のグラフに示しています。
手術は全1750項目について高額な手術を左側に、右になるほど手術代が安くなるように並べています。
縦軸は、医科点数に×3円した患者負担額となっています。
このグラフをもとに、医療保険の手術給付の適用範囲について、88種類と健康保険適用手術(いわゆる1000種類)の違いについてはおおまかには次のように理解されたらよいと思います。
グラフでは高額療養費の青の線が600~700のところで交差していますが、この金額を超えるような高額な手術について給付金を支払うのが88種類の手術給付であり、青い線の下の低額な手術についても給付金を支払うのがいわゆる1000種類の手術給付ということです。
厳密には高額であっても観血手術ではない場合は手術給付金が出ない場合や、もともと不担保とされている手術もありますが、88対1000という単純な比の関係ではないことをこのグラフからおおまかに理解していただければよいと思います。
蛇足として、高額な600項目の手術について一律20万円を給付する場合(Aタイプ)と低額な1150項目の手術について2.5万円を給付する場合(Bタイプ)の合計金額を比較すると、
Aタイプ 20万円×600項目=12,000万円
Bタイプ 2.5万円×1150項目=2,875万円
オリックスのCUREはAタイプです。
新EVERはAタイプについて重大手術と一般手術で給付金に差(減額)をつけることでBタイプの給付金をまかなっていると言えます。
この比較はかなり大まかで、厳密には各手術について発生確率を乗じて期待値を計算して比較すべきですが、この比較でも1000種類の手術給付が88種類に比較して何倍もお得になるわけではないことがそれなりに納得いただけるのではないでしょうか。
この比較より、私の意見は、5万円の手術に対して2.5万円の手術給付はうれしいかも知れませんが、小さなリスクに対して保険料を支払うことはムダなので、大きなリスクに保険で備えるという考え方により近いオリックスのCUREに軍配を上げたいと思います。
参考
医科点数表はこちらからエクセルファイルをダウンロードできます。
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